IEC 61010とは?規格の要求事項と認証のポイントを解説!

電気計測器やラボ用機器を開発・製造する際、必ず考慮しなければならないのが安全性です。

特に、グローバル市場で製品を展開するには、国際的な安全規格への適合が不可欠で、「IEC 61010」は、まさにその中心となる規格の一つです。

 

本記事では、このIEC 61010について、その基本から具体的な要求事項、認証取得のプロセスまでを分かりやすく解説します。

製品の安全性確保とスムーズな市場投入を目指す技術者や品質保証担当者の方にとって、必見の内容です。

 

 

IEC 61010とは?

 

IEC 61010は、特定の電気機器の安全性に関する要求事項を定めた国際規格です。

 

製品の設計者や利用者の安全を守ることを目的としており、世界中の多くの国や地域で採用されています。

 

測定・制御・試験所用機器の国際安全規格

IEC 61010は、国際電気標準会議(IEC)によって発行された、測定用、制御用、および試験所(ラボ)で使用される電気機器の安全に関する国際規格です。

 

この規格に適合することは、製品が国際的に認められた安全基準を満たしていることを示す証となります。

 

規格の目的は作業者の安全確保

IEC 61010の最も重要な目的は、機器の操作者や周辺にいる人々の安全を確保することです。

 

この規格では、感電や火災、機械的な危険といった様々な潜在的リスクを特定し、それらに対する保護方策を具体的に定めています。

設計・製造段階でこれらの要求事項を盛り込むことにより、事故の発生確率を大幅に低減させ、安全な作業環境を実現します。

主な目的 具体的な内容
人命の保護 感電、火傷、機械的傷害などから
使用者を保護します。
火災の防止 機器の過熱や短絡による火災の発生と
延焼を防ぎます。
周辺環境への配慮 有害なガスや放射線の放出といった、
使用者以外への危険も考慮します。

 

IEC 61010の規格構成

 

IEC 61010は、単一の文書ではなく、複数のパートから構成されるシリーズ規格です。

これにより、基本的な共通要求と、特定の機器に特有の要求の両方をカバーしています。

 

基本となるパート1:一般要求事項

IEC 61010-1は、シリーズ全体の基本となる規格です。ここには、対象となるすべての機器に共通して適用される、普遍的な安全要求事項が規定されています。

 

設計の基本原則、感電や火災に対する保護、温度制限、構造上の要求など、安全設計の根幹をなす内容が含まれます。

まず、すべての製品はこのパート1の要求事項を満たす必要があります。

 

機器の種類に応じたパート2:個別要求事項

パート2は、特定の種類の機器や、特定の用途に特有のハザードに対応するための個別要求事項を定めています。

 

例えば、以下のようなものがあります。

  • ・IEC 61010-2-010: 材料の加熱用試験装置
  • ・IEC 61010-2-020: 遠心分離機
  • ・IEC 61010-2-030: 試験・測定用回路を持つ機器
  • ・IEC 61010-2-101: 体外診断(IVD)用医療機器

自社製品に適用されるパート2規格が存在する場合は、パート1に加えて、該当するパート2の要求事項にも適合させる必要があります。

 

IEC 61010が対象とする主なハザード

 

IEC 61010が対象とする主なハザード

IEC 61010では、電気機器が引き起こしうる様々な危険(ハザード)を想定し、それぞれに対する具体的な安全要求事項を定めています。

 

感電や火傷などの電気的ハザード

電気機器における最も代表的なハザードです。

規格では、人が危険な電圧や電流に触れることを防ぐための対策を求めています。

 

具体的には、基礎絶縁や二重絶縁といった保護手段、沿面距離と空間距離の確保、保護接地(アース)の確実な接続などが要求されます。

これらは、通常時だけでなく、単一故障(一箇所の絶縁破壊など)が発生した場合でも安全が保たれるように設計されなければなりません。

 

可動部や安定性に関する機械的ハザード

機器の可動部分による挟み込みや巻き込み、不安定な構造による転倒なども重大なハザードです。

 

IEC 61010では、危険な可動部にはガードを設けることや、機器が容易に転倒しないような機械的安定性を持つことを要求しています。

また、人が持ち運ぶことを想定した機器には、適切な取っ手の設計なども求められます。

 

火災の広がりや過度の温度上昇といった熱的ハザード

機器内部の部品の故障や過負荷は、過度の温度上昇や発火の原因となりえます。

 

この規格では、通常動作時および異常状態において、人が触れる可能性のある表面温度が安全な範囲に保たれることを要求します。

さらに、万が一内部で発火した場合でも、筐体が延焼を防ぎ、火災が外部へ広がらないような構造や材料(難燃性材料の使用など)を求めています。

 

放射線や化学物質などのその他のハザード

上記のハザードに加えて、IEC 61010はより専門的なハザードもカバーしています。

  • 放射線: レーザーや紫外線、X線などを発生する機器に対する保護要求。
  • 音響/超音波: 過度の騒音や超音波エネルギーからの保護。
  • 化学的ハザード: 有害なガス、蒸気、液体などが漏洩することを防ぐための要求。

これらのハザードについては、リスクアセスメントを実施し、規格で完全にカバーされていない危険が特定された場合、追加の保護方策が必要になることがあります。

ハザードの種類 具体的な要求事項の例
電気的ハザード ・絶縁
・保護接地
・空間距離/沿面距離の確保
機械的ハザード ・可動部の保護ガード
・機器の安定性
・鋭利な角の除去
熱的ハザード ・表面温度の制限
・難燃性材料の使用
・適切な換気設計
その他のハザード ・放射線シールド
・有害物質の封じ込め
・警告ラベルの表示

 

IEC 61010に適合するメリット

 

IEC 61010に適合するメリット

規格への適合は、単なる義務ではなく、企業にとって多くのメリットをもたらします。

 

製品の安全の向上

IEC 61010に準拠した設計を行うことは、製品に内在する潜在的なリスクを体系的に洗い出し、対策を講じるプロセスそのものです。

 

これにより、感電や火災といった事故の発生を未然に防ぎ、使用者の安全を確保できます。

安全性の高い製品は、顧客からの信頼を獲得し、ブランドイメージの向上に直結します。

 

グローバル市場へのスムーズな展開

IEC 61010は世界中で認められた国際規格であるため、
この規格に基づいて製品を設計・評価することで、各国の規制や要求事項に効率的に対応できます。

 

一つの規格への適合が、複数の市場への扉を開く鍵となります。

 

設計・開発段階でのリスク低減

開発プロセスの初期段階からIEC 61010の要求事項を考慮に入れることで、後工程での大幅な設計変更や手戻りを防ぐことができます。

 

これは、開発コストの削減と開発期間の短縮に直接的に貢献します。

リスクを未然に管理することで、スムーズで予測可能な製品開発が可能になります。

 

IEC 61010認証取得のプロセス

 

IEC 61010認証取得のプロセス

規格への適合を証明するためには、一般的に第三者認証機関による評価と認証取得のプロセスを経ることになります。

 

製品仕様の確認と適用規格の選定

まず、開発する製品の仕様、用途、構造を明確にし、適用されるべきIEC 61010のパート規格を正確に選定します。

 

例えば、測定回路を持つ機器であれば、IEC 61010-1(一般要求)に加えてIEC 61010-2-030(個別要求)の適用を検討します。

この段階で適用規格を誤ると、後のプロセス全体が無駄になる可能性があるため、慎重な確認が重要です。

 

規格に基づいたリスクアセスメントの実施

次に、選定した規格の要求事項に従って、製品に潜むハザードを特定し、そのリスクレベルを評価するリスクアセスメントを行います。

 

規格で要求されている保護方策が、特定されたリスクに対して十分であるかを確認し、不十分な場合は追加の対策を設計に盛り込みます。

このプロセスは、製品の安全性を論理的に確保する上で中核となります。

 

第三者認証機関による試験と評価

設計が完了し、試作品が完成したら、独立した第三者認証機関に製品を提出し、規格適合性試験を依頼します。

 

認証機関では、絶縁耐力試験、温度上昇試験、機械的強度試験、故障状態をシミュレートした試験など、専門的な設備と技術を用いて厳格な評価を行います。

試験結果は詳細なレポートとしてまとめられます。

 

認証書の発行と適合宣言

すべての試験項目に合格すると、認証機関から製品が規格に適合していることを証明するCB証明書などの認証書が発行されます。

 

この認証書と試験レポートを根拠として、製造者は自社の製品が関連する指令や規制(例: 欧州の低電圧指令)に適合していることを宣言(自己宣言)し、製品にCEマークを表示することができます。

 

まとめ

IEC 61010は、測定・制御・試験所用電気機器の安全性を確保するための重要な国際規格です。

 

この規格は、感電、火災、機械的危険など多岐にわたるハザードから使用者を保護するための具体的な要求事項を定めています。規格に適合することにより、製品の信頼性を高め、グローバル市場への展開を円滑に進めることが可能になります。

 

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【出展報告】海外展開、その製品に”備え”はあるか?

「この製品、海外で販売可能なのか?」
「販売した先で、セキュリティ事故が起きたら誰が責任を取るのか?」
技術力があるだけでは、市場には出られない時代が始まっています。
今、求められるのは“攻め”の製品設計と、“守り”のサイバーセキュリティ戦略。
それを伝えるために、私たちインターテックジャパンは、

「ものづくりワールド[東京] 製造業サイバーセキュリティ展」(2025年7月9日〜11日)に出展しました。

 

 


展示会で伝えたかったこと──
「“海外に出す”からこそのサイバーセキュリティ」
私たちのプレゼンテーションでは、今まさに注目が高まっている各国のサイバーセキュリティ法規について、

現在の動向や輸出にあたって何が必要かを具体的にご紹介しました。

 

出展社プレゼンテーション概要
タイトル:「“海外に出す”からこそのサイバーセキュリティ」
講演者: インターテックジャパン株式会社
            営業部 水田 善貴
日時: 2025年7月9日(水) 15:00〜15:30
「法規制対応は、かぎられた部署だけの問題ではありません。
製造、品質、経営、輸出、それぞれの立場で“何が必要か”を知ることが重要です。
CRAやRED、AI法など、様々な規制が既に施行されており、この数年でさらなる規制が導入予定です。
私たちは企業の皆様の最初の一歩からサポートします。」
(講演者:水田 善貴)

 

【NEW】展示会取材インタビュー動画を公開しました!

展示会開催中、Webメディア「基板の窓口」より取材を受け、セールスディレクター奥村とセールス担当水田インタビューに登場。現場視点で、製品サイバーセキュリティ対応に関する実務的なサポート内容を解説しています。

▶ 動画の見どころ

🔹 製品・サービスの特長(奥村)

  ・ CRA・RED・PSTIなど各国規制に対応

  ・ 技術相談~評価・認証まで一貫支援

  ・ 複雑な法体系(AI法、機械規則等)への対応

  ・ EUCCスキームを活用した認証実績あり

🔹 企業の課題と対応策(水田)

  ・ 国ごとに異なる法規制や施行時期の把握が困難

  ・ RED、PSTI、FCCなど複数規制の混在

  ・ 「法令対応ロードマップ資料」による整理と優先順位設定

  ・ 実務に即したスケジュール設計を支援

動画はこちらからご覧いただけます。


Intertekが提供する“備える力”
当社は、以下の包括的なサービスで、製品ライフサイクル全体にわたる規制対応を支援しています。
適合性評価:ETSI EN 303 645 や RED、CRAなどへの準拠確認
アドバイザリー:法規解釈、ギャップ分析、対応計画策定
試験・検証:サイバーリスク評価、侵入試験、技術文書レビュー
第三者認証支援:スウェーデンのNotified Bodyとの連携によるCEマーク取得
規制対応は「市場投入前の確認」ではなく、「設計初期からの戦略」へ。
私たちは、技術とビジネスの両面から、最適なアプローチを提供します。


展示会で見えた、現場のリアルな声
「EUのAI法、製品に関係あるのか判断がつかない。」
「既に出荷中の製品、後追いで対応できるの?」
「REDやCRAって、どこまでが義務?」
多くの企業が、規制の“知らないリスク”に不安を抱えていることが明確になりました。
私たちは、その不安を“安心”に変える支援をこれからも続けていきます。


ご相談・資料請求はこちらから
「規制対応、どこから手をつければ?」
そんなときこそ、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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Intertekは、ものづくりの未来を“守る力”で支えます。