機械規則への移行がもたらす整合規格と安全適合の“新時代”──いま製造業が知るべき重要ポイント

2025年、EUの機械規則(NMR)への移行が本格化し、製造業にとって大きな転換点が訪れています。これまでの機械指令(MD)から、新たな規則へと移行するこの過程で、整合規格(統一規格)の役割がかつてないほど重要かつ複雑になっているのです。

 

なぜ今、整合規格の見直しが急務なのか?

EUの安全基準を定める整合規格は、製品が安全であることを証明するために必要不可欠な存在。しかし、機械規則(NMR)は従来の指令(MD)に比べ、必須健康安全要件(EHSR)が大幅に強化され、規格の見直しは避けられません。

 

例えば、製品の取扱説明書には「想定される使用法だけでなく、誤った使い方(誤用)に関する情報も必ず記載せよ」という要求が新たに盛り込まれています。これは、製品安全をさらに高めるための重要な進化ですが、規格に組み込むには慎重な見直しと評価が必要です。

 

HAS評価プロセスで規格の“合否判定”が厳格化
EU規則1025/2012に基づき、欧州委員会と標準化団体が共同で行う「整合規格評価(HAS)」が2022年に大幅に刷新され、適合性のチェックがより厳格かつ透明になりました。


この評価で不適合と判断される規格が増えたことで、約6割もの既存規格が更新を迫られています。結果として、規格の更新が遅れ、最初のNMR対応EU公示(Official Journal)には旧規格が掲載されないケースが生じる見込みです。

 

製造者が直面する“新たな壁”

もし、NMR公示に掲載された整合規格が使えなければ、製造者は新たな適合証明の方法を模索しなければなりません。これは、これまでの常識を超えるチャレンジとなり、事業戦略や製品設計の見直しにもつながる可能性があります。

 

変化の時代に勝ち残るために今、何をすべきか?

EU標準化の大きな転換期を迎え、製造業の皆様には以下が求められます。

 ・最新の規格動向を常に把握し続けること

 ・HAS評価の重要性を理解し、標準化プロセスに積極的に関与すること

 ・規格未掲載時の代替適合証明策を早期に検討し準備すること

 

変化を恐れず、先手を打つことで競争優位を確立できるかどうかが、今後の市場参入と継続的な事業成功を左右します。

 

EUの新しい機械規則は、単なるルール変更ではなく、「製品安全の新時代」を告げるシグナルです。整合規格を理解し、上手に活用することがこれまで以上に重要となるこの時期に、正しい情報と戦略的な行動で乗り越えましょう。

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【EU新機械規則2023/1230】~2027年施行!デジタル時代の“安全”が、ものづくりを変える~

AI搭載機械、ネット接続機器、改造機械を扱う製造業者・開発者の皆さまへ。
2027年1月、ヨーロッパにおける「機械の安全ルール」が一新されます。
これまでの常識が通用しなくなる――その本質と備えるべきこと、あなたはご存じですか?

 

◆ついに来た、“デジタル時代の安全規制”

長年使われてきた旧・機械指令(2006/42/EC)に代わり、新たなEU規則「機械規則(EU)2023/1230」が2023年に発効。
2027年1月からはEU全域で義務化され、すべての企業に同一ルールが強制適用されます(※指令ではなく「規則」なので

各国ごとの解釈なし)。

この規則のキーワードは:

 ・AI・機械学習

 ・サイバーセキュリティ

 ・デジタル文書管理

 ・ライフサイクル全体の安全責任

つまり、単に機械の安全性を確保するだけでは不十分。
“つながる・進化する・自律する”機械に対し、設計・改造・廃棄に至るまでの全リスクを見える化・対策しなければならなくなります。

 

◆特に注意すべき7つのポイント

1. 安全に関わるAI搭載=高リスク扱いに

安全に関わるAIや機械学習による制御を含む機械は**“高リスク機械”に分類**され、CEマーキングの自己宣言が不可に。
第三者認証機関(Notified Body)による審査が義務化されます。

「進化するアルゴリズム」「予測不能な挙動」など、従来にはなかったリスクも評価対象です。

 

2. サイバー攻撃も“安全リスク”とみなされる

USB経由、Wi-Fi、悪意あるアップデートなどで制御システムが侵害される恐れがある場合、安全性そのものに影響します。
これからはサイバーセキュリティ対策もリスクアセスメントに必須となります。

 

3. 紙のマニュアルは“リクエストベース”に

操作説明書、適合宣言書、技術文書は原則デジタル提供が主流へ。
セキュリティとアクセス性の確保が求められます。

 

4. 改造したら“製造者”と見なされる

制御装置の変更や自動化機能の追加など、「実質的な改造」を加えた場合、法的に“製造者”扱いに。
CEマークの再取得、文書の更新、再評価が義務付けられます。

 

5. ライフサイクル全体でリスク管理

設置・使用中だけでなく、保守・廃棄・誤使用に至るまでリスク想定が必要です。
予期しない使われ方をされた際にも、メーカーが責任を問われる可能性あり。

 

6. 全関係者に新たな責任が発生

製造者だけでなく、販売代理店、輸入業者、統合業者も法的責任の対象に。
すべてのサプライチェーンでルールを共有・理解する必要があります。

 

7. 42か月の移行期間は折り返しに

公布:2023年6月

発効:2023年7月

義務化:2027年1月20日
→すでに移行期間の半分以上が経過しています。

 

◆では、今なにをすべきか?

「2026年になってから準備しよう」は危険です。
今すぐ以下の行動を始めることが、未来の競争力を守ります。

✅ AI・クラウド・自律制御を搭載した製品の棚卸し
✅ 既存のリスク評価の見直し(AI・サイバー・誤使用対応)
✅ デジタル文書化の準備(管理システムの構築)
✅ チーム教育(設計・品質・法務部門への周知徹底)
✅ 高リスク機械には早期に第三者機関をアサイン
✅ 取引先との連携強化(新たな責任を共有)

 

◆変化を先取りできる企業が、生き残る

この新機械規則は、EUが「テクノロジーと人命の両立」を本気で実現しようとしている証です。
法令対応と考えるのではなく、企業価値を高めるための機会ととらえてください。

未来のスタンダードを今から築く。
その第一歩として、私たちインターテックは皆さまをサポートします。

 ・現行機器のレビュー

 ・リスク評価の見直し

 ・デジタル文書化の支援

 ・第三者認証取得の準備
など、段階に合わせた柔軟な対応が可能です。

 

✅今、備える企業が未来をリードする。
ぜひお気軽にご相談ください。

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【無料ウェビナー】UL 60335-2-40 第4版の可燃性冷媒規格と関連試験の全体像

UL 60335-2-40 第4版の可燃性冷媒に関する要件および関連要求についてわかりやすく解説します。

本動画では、以下の内容を順にご紹介します:

 ・代替の低GWP冷媒の特性と課題

 ・潜在的な発火源の取り扱い

 ・加熱面の要件

 ・模擬漏洩試験の実施方法

 ・冷媒検知システムの設置基準

さらに、可燃性冷媒がHVAC/R機器の構成部品に及ぼす影響についても詳しく説明します。

 

●動画再生時間:39分54秒

●情報の有効時点:本コンテンツは2025年7月時点の情報に基づいて作成されています。

※日本語字幕はAIによって生成されています。内容の正確性については英語解説を基準としてご参照ください。
今すぐ視聴・お申し込みはこちらから

UL 60335-2-40 第4版 可燃性冷媒の要件

●概要:UL60335-2-40 第4版の可燃性冷媒の要件と関連する要求について解説します。
代替の低GWP冷媒、潜在的な発火源、加熱面、模擬漏洩試験、冷媒検知システムの順に解説します。
可燃性冷媒が HVAC/R 機器の構成部品にどのように影響するか解説します。

● 動画再生時間:39分54秒

●情報の有効時点:本コンテンツは2025年7月時点の情報に基づいて作成されています。

※日本語字幕はAIにより生成されています。英語解説が正となりますので、ご参考までに御覧ください。

IEC 60335-1 第6版 Annex U

●概要:IEC 60335-1 第6版で追加されたAnnex Uについて解説します。
Annex Uの該当範囲や要求事項と実際の評価で確認する内容について解説します。
製造業者が接続機器の安全性に関する要件を理解するためにご活用いただける内容です。

● 動画再生時間:34分05秒

●情報の有効時点:本コンテンツは2023年3月時点の情報に基づいて作成されています。

※日本語字幕はAIにより生成されています。英語解説が正となりますので、ご参考までに御覧ください。

【無料ウェビナー】IEC 60335-1 第6版 Annex Uとは?新規追加規定のポイント解説

IEC 60335-1 第6版で追加されたAnnex Uについてご存じですか?
本ウェビナーでは、Annex Uの該当範囲や要求事項、実際の評価で確認すべきポイントを解説します。

注目ポイント:

 ・Annex Uの概要と該当範囲
 ・評価時に確認する具体的な内容
 ・製造業者が安全性要件を理解するためのポイント

Annex Uの理解と適切な対応は、製造業者にとって重要な課題です。
ぜひこの機会に最新情報をご確認ください。

 

●動画再生時間:34分05秒

●情報の有効時点:本コンテンツは2023年3月時点の情報に基づいて作成されています。

※日本語字幕はAIによって生成されています。内容の正確性については英語解説を基準としてご参照ください。
今すぐ視聴・お申し込みはこちらから

 

欧州無線機器指令(RED)のサイバーセキュリティ要件対応規格であるEN 18031をポイント解説!

REDサイバーセキュリティ要件とEN 18031

2025年8月1日、EU市場における無線機器の販売環境が大きく変化しました。欧州無線機器指令(Radio Equipment Directive:RED)に新たなサイバーセキュリティ要件が
追加され、BluetoothやWi-Fiなどの無線機能を搭載した
機器には従来の安全性要件に加えてサイバーセキュリティ対策の実装と証明が義務付けられました。

本記事では、この新要件に対応するための技術基準であるEN 18031規格の詳細から、具体的な適合プロセス、そして企業が取るべき戦略的対応までを包括的に解説します。最後まで読んで、法的リスクを回避し、EU市場での継続的な事業展開を実現するための実践的な知識を得ましょう。

※重要: 2025年8月1日以降、要件に適合しない無線機器は欧州市場での販売が禁止されています。



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1. 欧州無線機器指令(RED)のサイバーセキュリティ要件


欧州無線機器指令(RED)は、EU域内で販売される無線機器の安全性と相互運用性を確保するための重要な法的枠組みです。2025年8月からの新要件導入により、無線機器メーカーは従来にない課題への対応が求められています。


1.1. REDの背景と新要件の必要性

欧州無線機器指令は、無線機器の技術的適合性を確保し、電波の有効利用と利用者の安全を保護するための指令として機能してきました。しかし、IoT機器の急速な普及とネットワーク接続の常態化により、無線機器を標的としたサイバー攻撃が深刻な社会問題となっています。

これらの脅威に対応するため、欧州委員会は2025年8月1日から、REDにサイバーセキュリティ要件を新たに追加することを決定しました。この要件は、単なる技術的制約ではなく、デジタル社会の安全性確保に向けた包括的な取り組みの一環として位置づけられています。

 

1.2. 対象製品の広範な範囲

REDのサイバーセキュリティ要件は、Bluetooth、Wi-Fi、RFID、Zigbee、LoRaWANなどの無線通信機能を搭載した機器全般が対象となります。重要なのは、インターネットに直接接続しない機器や、ファイアウォール環境下での使用に限定される機器も対象となる可能性があることです。


具体的に、以下のようなケースでも要件の対象となる可能性があります。


  • ・無線機能としてBluetoothやRFIDのみを搭載し、Wi-Fiは搭載していない機器
  • ・インターネットへの接続がスマートフォンを介した間接接続に限定される機器
  • ・企業内ネットワークなど、制限された環境での使用を前提とする機器

これはEN 18031の対象範囲が特定のプロトコルや接続形態に限定されず、無線機器が持つ潜在的なセキュリティリスク全般を対象としているためです。

 

1.3. 義務化によるインパクト

2025年8月1日以降、サイバーセキュリティ要件に適合しない無線機器は、欧州市場での販売が禁止されます。これは、既存の製品であっても例外ではなく、継続販売のためには新要件への適合が必須となります。

違反した場合のペナルティは深刻で、巨額の罰金、製品リコール、市場アクセスの永続的な制限など、企業の事業継続に致命的な影響を与える可能性があります。また、ブランドイメージの毀損や顧客からの信頼失墜など、数値化困難な損失も考慮する必要があります。

 

2. EN 18031が示すセキュリティ基準と適合の重要性


EN 18031は、REDのサイバーセキュリティ要件に適合するための具体的な技術基準を定めた整合規格(harmonized standard)です。この規格への適合により、企業は法的要件を満たしていることを客観的に証明できます。

 

2.1. EN 18031規格の基本的な位置づけ

EN 18031は、European Telecommunications Standards Institute(ETSI)によって開発された技術規格で、REDのサイバーセキュリティ要件に適合するための実践的なガイドラインを提供します。
整合規格としての地位により、この規格に適合した製品は、REDの関連要件を満たしているものと推定されます。

この規格は、無線機器が直面する現実的なサイバーセキュリティ脅威を分析し、それらに対する効果的な対策を技術的に実装するための方法論を提供しています。
単なる理論的な安全性ではなく、実用的な環境における脅威への耐性を重視した内容となっています。

 

2.2. EN 18031の具体的要求事項

EN 18031では、無線機器が現実的に直面するサイバーセキュリティ脅威に対する具体的な防御機能の実装を求めています。

要求事項カテゴリ 主な対策内容 具体的な実装例
ネットワーク
セキュリティ対策
不正アクセスの防止と通信の保護 ・デフォルトパスワードの廃止
・強固な認証プロトコルの採用
・通信経路の暗号化
・不正アクセス試行の検出と遮断
データ完整性の保護 データ改ざんの防止と検証 ・デジタル署名の実装
・ハッシュ値検証機能
・データベースの暗号化
・改ざん検知システム
セキュリティ
アップデート機能
脆弱性対応のための安全な更新機能 ・更新データの完整性検証
・更新プロセスの認証機構
・セキュアな配信メカニズム
・ロールバック機能

 

2.3. 適合性の証明プロセス

EN 18031への適合は、単なる設計上の配慮では不十分で、実際の機器を用いた試験による客観的な証明が必要です。試験では、規格で定められた各種攻撃シナリオに対する機器の耐性が詳細に評価されます。 試験項目には、パスワード攻撃、通信傍受、データ改ざん、ファームウェア操作など、現実的な攻撃手法に対する防御能力の検証が含まれます。これらの試験を通じて、理論上の安全性ではなく、実環境における実効的な安全性が確認されます。


2.4. 非適合のリスクと影響

EN 18031への非適合は、法的リスクにとどまらず、企業の競争力と市場地位に深刻な影響を与えます。欧州市場からの排除により、売上機会の喪失、サプライチェーンからの除外、パートナー企業との関係悪化などの連鎖的な影響が生じる可能性があります。 また、サイバーセキュリティ要件への対応の遅れは、企業の技術力や品質管理体制に対する市場の信頼を損なう要因ともなります。特に、セキュリティが重視される産業分野においては、認証取得の有無が調達の前提条件となるケースが増加しています。


3. EN 18031認証取得のプロセスとパートナー選び


EN 18031認証取得のプロセスとパートナー選び


EN 18031への適合は、技術的な複雑さと法的要件の厳格さにより、専門的な知識と経験を持つパートナーとの協力が
不可欠です。効率的で確実な認証取得のため、体系的なアプローチが求められます。



3.1. 認証取得の基本プロセス

EN 18031への適合認証は、初期診断から最終的なノーティファイドボディへの申請まで、段階的なプロセスを経て進められます。


プロセス段階 実施内容 主なアウトプット
規格適合性の初期診断 製品が EN 18031の対象範囲に含まれるかの判定/
無線機能、ネットワーク接続性、データ処理能力等の分析
・対象性判定結果
・無料スコープ診断レポート
・規格要件との対応関係の明確化
包括的なギャップ分析 現在の実装状況と規格要求事項との差異を特定/
追加すべき機能や修正要素の明確化
・ギャップ分析レポート
・製品改修計画
・開発スケジュールの基礎
適合試験の実施 規格準拠環境での製品セキュリティ性能評価
(攻撃耐性検証、脆弱性確認等)の実施
・詳細な試験結果レポート
・セキュリティ機能動作確認書
・技術文書/作成用データ
ノーティファイドボディ(NB)への申請 技術文書、試験結果、適合宣言書等の整備/
NB による書類審査と最終認証
・適合証明書
・CEマーキング取得資格
・EU 市場での販売許可

3.2. パートナー選定の重要な判断基準

EN 18031認証の成功は、技術的専門性と実践的サポート能力を兼ね備えた適切なパートナーの選択に大きく依存します。


判断基準 重要性 確認すべきポイント
技術的専門性と
日本語対応能力
規格の正確な理解と適用に不可欠 ・複雑な規格要件を日本語で分かりやすく説明できる専門家の存在
・規格条文の解釈、試験方法の選択、技術文書作成の支援能力
・実践的な解決策を提案できる技術力
グローバルな情報収集力
と最新動向への対応
規制環境の変化への迅速な対応 ・欧州拠点からの最新情報をタイムリーに入手できる情報ネットワーク
・規制の変更、試験方法の更新、認証プロセス改定への対応力
・競合他社動向や市場情報の提供能力
国内試験環境の整備状況 プロジェクトの効率性
と確実性を左右
・製品の輸出手続きが不要な国内試験環境の有無
・問題発見時の迅速な対応と改修・再試験のスピード
・輸送コストとスケジュール管理の負担軽減


4. インターテックジャパンのREDサイバーセキュリティ要件適合支援サービス


インターテックジャパンでは、REDサイバーセキュリティ要件への適合を包括的にサポートする専門サービスを提供しています。豊富な経験と技術的専門性を活かし、お客様の製品が確実に要件を満たすよう支援します。


4.1. 包括的な適合支援プロセス

お客様の製品特性と事業要件に応じて、最適な認証取得戦略を策定し、プロジェクト全体をサポートします。技術的な課題の特定から解決策の実装、試験の実施、認証機関との調整まで、ワンストップでのサービス提供により、お客様の負担を最小限に抑えます。 特に、EN 18031の複雑な技術要件を日本語で分かりやすく説明し、実装上の課題に対して実践的なソリューションを提案することで、確実で効率的な適合プロセスを実現します。


4.2. グローバルネットワークを活用した最新情報提供

インターテックのグローバルネットワークを通じて、欧州の最新規制動向、技術基準の更新情報、認証プロセスの変更などをタイムリーに入手し、お客様に提供します。これにより、規制環境の変化に迅速に対応し、認証取得の確実性を高めることができます。 また、欧州各国での市場動向、競合他社の対応状況、ビジネス機会の分析などの情報も提供し、お客様の戦略的意思決定をサポートします。


【インターテックジャパンに依頼するメリット】

・専門家によるサポート
REDのサイバーセキュリティ要件に関する専門家が、製品開発から市場投入までをサポートします。

・ワンストップソリューション
REDに求められる安全性、EMC、無線試験に加えて、
サイバーセキュリティ要件にもワンストップで対応します。

・国内での試験実施
国内の試験施設で試験を実施でき、輸送時間やコストを削減できます
(※製品種別・試験内容により国内対応不可の場合あり)。


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5. REDのサイバーセキュリティ要件への対応で欧州市場を守る


REDサイバーセキュリティ要件への適合は、単なる規制遵守を超えて、企業の競争力強化と持続的成長を実現するための戦略的投資です。

2025年8月1日から義務化されたREDサイバーセキュリティ要件は、EU市場における無線機器ビジネスの新たなスタンダードとなりました。
EN 18031規格への適合は、法的リスクの回避だけでなく、製品の信頼性向上、顧客からの信頼獲得、サイバーリスク
からの保護という多面的な価値を提供します。

適合への取り組みは、製品の技術的優位性を証明し、セキュリティを重視する市場での差別化要因となります。
特に、産業用IoT、スマートホーム、ヘルスケア機器など、セキュリティが重視される分野では、EN 18031適合が事実上の参入要件となりつつあります。

規制を遵守することは、市場での販売継続を保証するだけでなく、製品の信頼性を高め、サイバーリスクから顧客を
守るための重要な経営戦略です。
早期の対応により、市場での先行者利益を獲得し、長期的な競争優位性を確立することが可能になります。

インターテックジャパンは、REDサイバーセキュリティ要件への確実な適合を通じて、お客様の欧州市場での成功を
全力でサポートいたします。
EN 18031適合性評価、無料相談、認証取得支援に関するお問い合わせは、以下よりお気軽にご連絡ください。



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SEMI規格とは?半導体製造業界を支える国際標準の基礎知識

SEMI規格とは?半導体製造業界を支える国際標準の基礎知識

急速に進化する半導体産業において、製品の安全性、
品質、互換性を確保するために不可欠となっているのが「SEMI規格」です。 この国際標準は、世界中の半導体製造装置メーカーや材料メーカーが共通の基準で開発・
製造・取引を行うための重要な枠組みを提供しています。

本記事では、SEMI規格の背景と目的から、主要な分類、そして現代の半導体製造業界でなぜこの規格への準拠が必要不可欠なのかなどを解説します。
最後まで読んで、SEMI規格への適切な対応戦略を立て、グローバル市場での競争力強化につなげるための具体的な知見を得ましょう。




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1. SEMI規格とは?半導体製造業界の国際標準を策定する組織と活動


半導体製造業界における技術革新の速度は目覚ましく、それに伴い製造装置や材料の標準化の必要性が高まっています。
この課題に対応するために設立されたのが、SEMI(Semiconductor Equipment and Materials International)という
国際的な業界団体です。


1.1. SEMI(Semiconductor Equipment and Materials International)とは

SEMIは、半導体およびフラットパネルディスプレイ(FPD)製造装置・材料業界のグローバルな業界団体として、
1970年に設立されました。現在では世界中から2,000社以上の企業が参加し、100万人以上の業界専門家が活動に参画
する国際組織として発展しています。北米、ヨーロッパ、中国、日本、韓国、東南アジアに拠点を設置し、参加者の多くがボランティアベースで規格策定に貢献しているのが特徴です。
SEMIは単なる標準化団体にとどまらず、業界全体の技術革新促進、人材育成、市場発展のためのプラットフォームとしても機能しています。


1.2. SEMI規格が生まれる背景と目的

SEMI規格の策定には、半導体産業特有の課題と要求が深く関係しています。


1.2.1. 効率化の実現

半導体製造プロセスの標準化により、生産性向上と統一された手順・仕様による効率的な製造を実現します。
また、標準化によるスケールメリットの活用でコスト削減を図り、一貫した基準による製品品質の向上を可能にします。


1.2.2. 互換性の確保

装置と装置、装置と材料間の相互運用性を確保することで、異なるメーカーの装置を組み合わせた最適な生産システムの構築が可能になります。これにより、サプライチェーンの最適化や部品・材料調達の効率化が実現し、共通基盤上での新技術の迅速な展開も促進されます。


1.2.3. 安全性の向上

製造環境における包括的な安全性確保として、人間工学に基づいた安全な作業環境の構築、火災・爆発・化学物質漏洩等のリスク軽減、そして排気・廃棄物管理・エネルギー効率化による環境負荷低減を推進します。


1.2.4. 技術革新への対応

急速に進歩する半導体技術に対応するため、最新技術の業界共通基準を迅速に策定し、グローバルな技術開発の基盤を提供します。さらに、ベストプラクティスの業界全体への普及により、知識共有を推進しています。


1.3. SEMI規格の国際標準としての位置づけ

SEMI規格は、法的拘束力を持つ強制規格ではありませんが、業界関係者の合意に基づいて策定される任意規格として、事実上の国際標準として広く採用されています。主要な半導体メーカーが調達要件として採用することで実質的な必須要件となっており、世界中の半導体製造拠点で共通に採用されています。また、技術進歩に応じた定期的な見直しと改訂により、常に最新の技術動向に対応した内容が維持されています。


2. SEMI規格の主要な分類と具体的な内容


SEMI規格は、半導体製造の様々な側面をカバーする包括的な標準体系として構成されています。現在、400以上の規格が策定されており、その内容は製造装置の安全性から最新のサイバーセキュリティまで多岐にわたります。


2.1. 基本安全規格

【SEMI S2】

半導体製造装置の環境、健康、安全に関する最も包括的なガイドラインです。化学物質の取り扱いから電気的安全、
機械的危険防止、火災・爆発対策、地震対策、品質管理まで、製造装置に関わる幅広い安全側面を統合的にカバーしています。

【SEMI S6】

半導体製造装置の排気換気システムに関するガイドライン 有害ガスや蒸気の適切な排出管理と換気システムの設計・
設置・保守要件を定め、環境負荷軽減と作業者の健康保護を実現します。

【SEMI S8】

半導体製造装置の人間工学(エルゴノミクス)に関するガイドライン 作業者の快適性と安全な操作性を確保するため、人間工学に基づいた装置設計要件と操作インターフェースの最適化指針を提供します。

【SEMI S14】

半導体製造装置の火災リスク軽減に関するガイドライン 火災リスクアセスメントの実施方法と火災防止策・被害軽減措置を定め、緊急時対応システムの構築要件を規定しています。


2.2. サイバーセキュリティ関連規格

【SEMI E169】

装置情報システムセキュリティの標準 製造装置のサイバーセキュリティ基本要件とセキュリティリスクアセスメント
手法を定め、セキュリティ管理体制の構築指針を提供します。

【SEMI E187】

ファブ設備(半導体製造装置)のサイバーセキュリティ標準(データ保護) 機密データの保護と管理手法を規定し、
アクセス制御システムの要件とデータ漏洩防止対策を定めています。

【SEMI E188】

工場システムでのマルウェア感染防止 マルウェア対策システムの導入要件と感染予防・検知システムの構築、および
インシデント対応手順を規定しています。


2.4. 電力品質・信頼性規格

【SEMI F47】

半導体製造装置の瞬時電圧低下(瞬停)耐性に関するガイドラインで、電圧サグに対する装置の耐性要件を定め、電力品質の維持と製造継続性の確保、装置の電力トラブル対応能力の評価手法を規定しています。


SEMI F47とは?半導体製造装置に求められる電圧降下耐性

2.5. 省エネ・環境配慮規格

【SEMI S22】

半導体製造装置の電気設計のための安全に関するガイドラインで、電気的安全性確保と省エネルギー設計の両立を図るための包括的な要件を定めています。

【SEMI S23】

半導体製造装置におけるエネルギー、ユーティリティ、材料の保全に関するガイドライン 製造装置の環境負荷軽減と
資源使用量の最適化を目的とした技術指針を提供しています。


2.6. その他の重要規格分野

  • ・ウェーハ関連規格:ウェーハの寸法、品質、取り扱いに関する仕様
  • ・データ通信規格:SECS/GEM(装置間通信プロトコル)
  • ・トレーサビリティ規格:製造履歴の管理と追跡可能性
  • ・材料規格:半導体製造用化学薬品、ガス、材料の品質基準

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3. なぜSEMI規格への準拠が重要なのか


なぜSEMI規格への準拠が重要なのか


現代の半導体製造業界において、SEMI規格への準拠は単なる選択肢ではなく、持続的な事業成長と市場競争力確保の
ための必須要件となっています。


3.1. 製造プロセスの効率化と品質維持

SEMI規格への準拠により、製造現場では以下の具体的な効果が実現されます。


3.1.1. 装置間の相互運用性向上

統一されたインターフェースにより、異なるメーカーの装置を組み合わせた最適な製造ライン構築が可能になります。装置間でのシームレスなデータ交換と統合管理によりデータ互換性が確保され、標準化された部品と手順による効率的なメンテナンスにより保守性も向上します。


3.1.2. 製造ライン全体の安定稼働

規格適合装置による一貫した製造品質により予測可能な性能を実現し、標準化された故障予防と迅速な復旧手順によりダウンタイムを削減します。さらに、最適化されたプロセスフローによる歩留まり向上により、生産性の最大化を図ることができます。


3.2. 安全性の確保とリスク管理

半導体製造環境では、多様な安全リスクが存在するため、SEMI規格による包括的な安全管理が不可欠です。


3.2.1. 作業者の安全確保

有害物質の適切な取り扱いと曝露防止による化学物質の安全管理、作業負荷軽減と作業環境の最適化のための人間工学的配慮、そして事故・災害時の迅速で適切な対応手順としての緊急時対応体制の整備が重要です。


3.2.2. 装置・施設の安全性向上

リスクアセスメントに基づく予防措置による火災・爆発防止、感電・漏電事故の防止と保護システムによる電気的安全の確保、そして排気・廃棄物処理の適切な管理による環境汚染リスクの軽減を実現します。


3.3. サプライチェーン全体の円滑化

グローバルな半導体サプライチェーンにおいて、SEMI規格は以下の価値を提供します。

3.3.1. 国際取引の効率化

世界共通の技術仕様により、明確なコミュニケーションが可能になる共通言語を提供します。一貫した品質基準による信頼性確保により品質保証の標準化が実現し、標準仕様による迅速な製品選定と調達により調達プロセスの効率化が図られます。


3.3.2. パートナーシップの強化

規格準拠による技術的な互換性保証により技術適合性が確保され、信頼できる品質基準による持続的取引関係により
長期的関係構築が可能になります。また、国際標準への適合により新規市場参入の促進も実現できます。


3.4. グローバル市場での競争力と信頼性

SEMI規格への適合は、企業の市場での差別化要素として機能し、国際的な信頼性確保により持続的な競争優位性を構築する重要な手段となります。


3.4.1. 主要顧客からの要求対応

現代の半導体製造では、主要な半導体メーカーがSEMI規格適合を調達要件として設定するケースが増加しています。
規格適合による競合他社との明確な差別化要素として機能し、大型プロジェクトへの参画機会確保のための入札資格となります。さらに、高品質・高信頼性製品としての市場認知によりブランド価値の向上を実現します。


3.4.2. 新興技術への対応力

最新規格への準拠による先端技術への対応により技術革新への適応が可能になり、標準化された基盤上での迅速な技術展開により市場変化への柔軟性を確保します。また、規格準拠による長期的な競争優位性確保により持続的成長基盤を構築できます。


3.5. 法規制との関連性

SEMI規格は直接的な法規制ではありませんが、各国・地域の安全規制の要求水準をクリアする指針としてベストプラクティスを提供し、グローバルな法規制動向との整合性確保により国際整合性を実現します。
また、将来の法規制強化への先行対応として予防的コンプライアンスの役割も果たしています。


4. インターテックジャパンのSEMI規格評価支援サービス


インターテックジャパンは、半導体製造装置業界における豊富な実績と専門知識を活かし、SEMI規格への適合性評価と認証取得支援において業界をリードするサービスを提供しています。


4.1. 米国Intertek GS3との強力なパートナーシップ

インターテックジャパンは、米国のIntertek GS3(Global Semiconductor Safety Services)との緊密な連携により、
世界最高水準のSEMI規格評価サービスを提供しています。

1,000台以上の半導体製造装置評価実績を持ち、SEMIガイドラインに完全準拠した評価プロセスを実施しています。
世界中の主要半導体メーカーで受け入れられる評価レポートを提供し、最新のSEMI規格改訂への迅速な対応により継続的な技術更新を行っています。


4.2. 包括的なSEMI規格対応能力

前工程から後工程まで、半導体製造の全工程における装置評価に対応しています。


安全性評価サービス:


  • ・SEMI S2適合評価:包括的装置安全評価と詳細なリスク査定
  • ・SEMI S6評価:排気換気システムの評価と最適化提案
  • ・SEMI S8適合確認:人間工学エンジニアリング評価とSESC(Supplier Ergonomic Success Criteria)チェックリスト対応
  • ・SEMI S14評価:火災リスクアセスメントと軽減策の包括的評価

電力品質・信頼性評価:


  • SEMI F47試験:電圧サグ耐性評価のための専用試験器を保有

4.3. 最先端の測定機材と試験設備

SEMI規格評価に必要な以下のような専門機材を完備しています。


  • ・サグ試験器(SEMI F47対応):精密な電圧降下シミュレーション
  • ・トレーサーガスモニター(SEMI S6対応):排気効率の正確な測定
  • ・安全性評価設備:包括的な安全性試験のための多様な測定機器


【インターテックジャパンに依頼するメリット】

・世界的な信頼性と認知度
世界の主要半導体メーカーでインターテックの評価レポートが広く受け入れられています。

・効率的な評価プロセス
ワンストップサービスで効率的に複数のSEMI規格を統合的に評価できます。

・技術的専門性とサポート
半導体製造装置に精通した専門技術者が評価を行い、
評価後の改善支援と継続的フォローアップを実施します。


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5. SEMI規格への適合が拓く半導体製造の未来


SEMI規格への適合は、企業の持続的成長と競争力確保のための戦略的投資です。
技術革新が加速する半導体業界において、最新規格への継続的な対応により、先行優位性の確保、技術的差別化、顧客信頼の獲得が可能になります。

また、SEMI規格適合は個社の利益にとどまらず、業界全体の品質標準化、サプライチェーンの効率化、持続可能な産業発展に貢献します。将来の市場変化や規制強化への事前対応として、長期的な企業価値向上とレジリエンス強化を実現する重要な取り組みといえます。

お客様の半導体製造装置事業の成功と持続的成長を、インターテックジャパンが全力でサポートいたします。

SEMI規格適合性評価、認証取得支援、最新規格動向に関するご相談は、以下よりお気軽にお問い合わせください。

業界をリードする技術専門家が、お客様の製品特性と事業戦略に最適化されたSEMI規格適合ソリューションをご提供いたします。


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測定サイト特性評価 NSIL(Normalized Site Insertion Loss)測定サービス開始

弊社では、これまでのNSA測定/SVSWR測定サービスに加え、30MHz以下の測定サイト特性評価であるNSIL測定サービスを開始

いたしました。
CISPR 11 Ed.7.0(2024)が発行され、この規格を用いてグループ2機器の放射エミッション測定を行うサイトは、CISPR16-1-4 Ed.4.2(2023)にて要求される特性評価(NSIL測定)を行う必要があります。

 

■グループ2機器とは
周波数範囲9kHz~400GHzの無線周波数エネルギーを材料処理、検査/分析目的、または電磁エネルギーの伝達のために、電磁放射、誘導および/または容量結合の形態で、意図的に発生させて使用するか、または局所的にのみ使用されるすべてのISM RF機器

 

■グループ2機器の例
マイクロ波給電UV照射機器、マイクロ波照明機器、工業用誘導加熱装置、家庭用誘導加熱調理器、誘電加熱装置、工業用マイクロ波加熱

装置、家庭用電子レンジ、超短波治療装置、マイクロ波治療装置、磁気共振造影(MRI)、医療用高周波殺菌装置、高周波外科装置、電気

溶接装置、放電加工装置、教育訓練のための実演模型(高電圧テスラ変圧器など)

 

ご不明点や詳細につきましては、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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機械指令(MD)から機械規則(MR)へ!EU市場で必須となる最新の機械安全基準

機械指令(MD)から機械規則(MR)へ!EU市場で必須となる最新の機械安全基準

EU市場への機械製品投入において、2027年1月20日に現行の機械指令(Machinery Directive:MD)が廃止され、新たな機械規則(Machinery Regulation:MR)が適用されます。
この変化は単なる法的形式の変更にとどまらず、サイバーセキュリティやAI技術への対応など、機械安全に関する全く新しい要件の導入につながります。
本記事では、現行の機械指令の要件から機械規則への変更点、そして企業が取るべき対応策まで、EU市場で成功するために必要な知識を包括的に解説します。
規制変更への適切な準備と競争優位性の確保を実現するために参考にしてください。




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1. 機械指令(MD)から機械規則(MR)へ、EUの機械安全基準の全体像


EU市場における機械製品の流通は、統一された安全基準によって厳格に管理されています。
現在はこの基準の大きな転換点にあり、企業は現行制度と新制度の両方を理解して適切に対応することが求められています。


1.1. 現行の機械指令(MD)とCEマーキングの関係

EU市場での機械販売に不可欠なCEマーキングの根拠となるのが、現行の機械指令(2006/42/EC)です。
この指令は、EU域内で販売される機械の最低限の安全要件を定め、製造者に適合性評価の実施を義務付けています。

機械指令は、EU域内の機械の安全性を確保し、自由な流通を促すための基本的な法的枠組みを提供しています。
製造者や輸入者には、製品の安全性確保と市場での自由な流通の保証という、二つの重要な責任を果たす役割が課されています。
しかし、この指令は2027年1月20日に廃止され、新たな機械規則(Machinery Regulation)が適用されることが決定されています。
この変更は、技術革新や新たな安全リスクに対応するための必然的な進化といえます。


1.2. 機械指令から機械規則への移行の必要性

現行の機械指令は2006年に策定されたもので、当時の技術水準と安全リスクを前提としています。
しかし、IoT(モノのインターネット)、人工知能、ロボティクス技術の急速な発展により、従来の安全概念では対応しきれない新しい課題が生じています。
従来の物理的な安全対策だけでは、デジタル化された機械の包括的な安全性を確保することが困難になっています。
特に深刻なのは、サイバー攻撃のリスク増大です。ネットワークに接続された産業用機械への不正侵入により、制御システムが改ざんされたり、安全機能が無効化されたりする危険性が現実のものとなっています。
従来の機械指令では、このようなサイバーセキュリティ脅威は想定されていませんでした。
機械規則は、これらの現代的な課題に対応するための包括的な安全基準として設計されています。


2. なぜ機械指令と機械規則の両方を理解する必要があるのか


企業がEU市場での競争力を維持するためには、現行制度と新制度の両方を深く理解し、段階的な対応戦略を構築することが不可欠です。


2.1. 現行の機械指令(MD)が求める適合要件

現行の機械指令では、製品が最低限の安全基準を満たしていることを証明するため、必須健康安全要求事項(Essential Health and Safety Requirements:EHSR)に適合する必要があります。

適合性評価プロセスは、主に以下の内容で構成されています。


  • リスクアセスメントの実施:機械の使用における潜在的な危険を特定し、適切な安全対策を講じることを証明する体系的な評価プロセスです。

  • 技術ファイルの作成:製品の設計、製造、安全性に関する詳細な文書を整備し、規制当局の要求に応じて提示できる状態を維持する必要があります。

  • 適合宣言書の発行:製造者が製品の法規制適合を正式に宣言し、CEマーキングを貼付するための法的根拠となる文書を作成します。

2.2. 法的拘束力の重要な違い

機械指令と機械規則の間には、法的効力において重要な違いがあります。
現行の機械指令は、EU加盟各国が国内法に転換して実施する形式を取っています。
このため、国によって解釈や運用に若干の差異が生じる可能性がありました。
一方、新しい機械規則は、EU加盟国で国内法への転換なしに直接適用される法的拘束力を持ちます。
これにより、EU域内での法的整合性と一貫性がより強化され、企業にとってはより明確で統一された規制環境が実現
されます。


3. 機械規則の主な変更点と、それに伴う対応プロセス


機械規則の主な変更点と、それに伴う対応プロセス


機械規則は、現代の技術的課題に対応するため、従来の機械指令から大幅な拡張と更新を行っています。
企業は、これらの変更点を正確に把握し、適切な対応策を講じる必要があります。


3.1. 新規則の主要な変更点

機械規則になることでの主な変更点をお伝えします。


3.1.1. サイバーセキュリティ要件の導入

機械規則における最も重要な新要素は、包括的なサイバーセキュリティ要件の導入です。
ソフトウェアやデータへの不正アクセス、改ざん防止など、機械の安全機能をサイバー攻撃から守るための具体的な
要件が新たに追加されます。
これには、セキュアな通信プロトコルの実装、アクセス制御機構の強化、ソフトウェアアップデートの安全な配信メカニズムの確立などが含まれます。
特に、産業用IoT機械や遠隔制御可能な機械においては、これらの要件への適合が事業継続の前提条件となります。


3.1.2. AI・機械学習の安全性要件

AI機能が組み込まれた機械に対しては、従来のリスクアセスメントでは捉えきれない新たな視点が求められます。
機械学習アルゴリズムの予測困難性、学習データの品質管理、AI判断の透明性とトレーサビリティの確保などが重要な要件として追加されます。


3.1.3. ノーティファイドボディ(NB)評価対象の変更

第三者機関による評価が必要な製品カテゴリーに重要な変更があります。
従来は第三者評価が義務付けられていた製品の一部が自己宣言可能になる一方で、
安全に関するAI技術を使用している製品や高度なサイバーセキュリティ機能を持つ製品など、
新たに第三者評価が義務付けられる製品カテゴリーも登場します。


3.1.4. 技術文書のデジタル化促進

取扱説明書やメンテナンス文書などの技術文書を電子形式で提供することが正式に認められます。
これにより、多言語対応の効率化や情報の更新頻度向上が可能になりますが、
同時にデジタル文書の可用性確保や長期保存に関する新たな要件も生じます。


3.2. 適合性評価プロセスの進化

機械規則では、従来の適合性評価プロセスが大幅に拡張され、新たな技術的要件に対応した評価手法が求められます。
企業は、この進化したプロセスを理解し、適切な準備を行う必要があります。


3.2.1. 拡張されたリスクアセスメント

新たな機械規則下では、従来の物理的安全性に加えて、サイバーセキュリティリスクとAI関連リスクを包含した包括的なリスクアセスメントが不可欠となります。
これには、潜在的なサイバー攻撃シナリオの分析、AI判断における誤作動リスクの評価、システム間の相互作用による複合的リスクの検討などが含まれます。
リスクアセスメントのプロセス自体も、より体系的で文書化された手法が求められます。

3.2.2. 高度化された技術文書(テクニカルファイル)

製品の安全性を示す技術文書は、新しい要件に対応してより詳細で包括的な内容が求められます。
従来の機械設計情報に加えて、サイバーセキュリティ対策の実装状況、AI機能の安全性検証結果、ソフトウェアの品質保証プロセスなどが含まれる必要があります。


3.2.3. 適合宣言とCEマーク表示の厳格化

製品が全ての関連規則に適合していることを宣言する適合宣言書は、新しい要件を反映してより詳細な内容が求められます。


4. インターテックジャパンの機械安全適合支援サービス


インターテックジャパンでは、現行の機械指令から新しい機械規則への移行期間において、企業の適合性評価を包括的にサポートする専門サービスを提供しています。


4.1. CEマーキング適合支援サービス

欧州市場に流通・販売する製品には、CEマーキング貼付が義務づけられています。
製品を欧州市場で販売する場合は、事前に関連する製品指令の要件に適合していることを証明しなければならず、
これらの指令は、欧州連合(EU)の加盟国への貿易と加盟国間の貿易を簡素化するために施行された共通規則です。

インターテックジャパンでは、機械指令を含むCEマーキングに関連する指令に対する各種サービスの提供が可能です。
経験豊富な技術者が、お客様の製品特性に応じた最適な適合性評価プロセスを設計し、効率的なCEマーキング取得を
支援します。


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4.2. 包括的な製品安全評価

電気製品(完成品)を海外に出荷する際、国ごとに製品の安全規格をクリアしていることを証明する認証書が必要になります。
弊社では、製品が各国の安全規格要求を満たしているかの評価試験を行い、認証書を発行いたします。

安全認証マークは、お客様の製品(モデル)が適用規格に準拠していること、
および実施中の工場検査制度下にあることを公的に示す証明になります。
お客様の製品が安全試験および認証を完了したことを市場に周知することにより、製品に対する信頼性を向上させる
ことが可能になります。


4.3. A2LA認定による信頼性の高いサービス

弊社は、A2LA認定試験所として、国際的に認められた品質管理体制の下で各種安全規格についてのA2LA、iLacレポート発行が可能です。この認定により、お客様は以下のメリットを享受できます:


  • 国際的な相互承認:一度の試験で複数国での要求を満たすことが可能

  • 高い技術的信頼性:厳格な品質管理基準に基づく正確な評価

  • 迅速なサービス提供:効率的なプロセスによる短期間での結果提供

機械規則への移行期間においても、最新の規制要件に対応した適切な評価サービスを継続的に提供し、
お客様のEU市場での事業継続を支援いたします。


【インターテックジャパンに依頼するメリット】

・ワンストップソリューション
機械のCEマーキング取得プロセスに必要なリスクアセスメントの評価、
適合性試験(EMC、電気安全など)をワンストップでサポートします。

・専門知識と豊富な実績
長年にわたる機械指令(MD)の適合支援で培った実績と専門知識を活かし、
新たな機械規則(MR)へのスムーズな移行を支援します。

・グローバルな対応力
世界各地に広がるネットワークを活かし、EU以外の各国の規制や認証にも対応します。

・迅速かつ効率的なプロセス
お客様の製品開発タイムラインに合わせて、迅速かつ効率的な評価・試験プロセスを提案します。

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5. 機械指令から機械規則へ、確実な対応でEU市場を勝ち抜く


機械指令から機械規則への移行は、EU市場における機械安全の概念を根本的に変革する歴史的な転換点です。
現行の機械指令への適合を確実に維持しながら、新しい機械規則への準備を段階的に進めることが、EU市場での持続的成功の鍵となります。

2027年の施行まで残された時間を有効活用し、サイバーセキュリティ対策、AI安全性評価、デジタル化対応などの
新要件への準備を計画的に実施する必要があります。
規制の変更をいち早く捉え、適切に対応することが、EU市場での競争優位性を確保する決定的な要素になります。

機械規則への対応は、コンプライアンス要件の充足にとどまらず、製品の技術的優位性と市場価値の向上にも直結します。
特に、サイバーセキュリティとAI安全性の要件は、今後のデジタル化社会において不可欠な技術要素となるため、
早期対応により将来の技術トレンドを先取りした競争力の高い製品開発が可能になります。


インターテックジャパンは、機械指令から機械規則への円滑な移行を通じて、お客様のEU市場での成功を全力でサポートいたします。

機械安全適合性評価、CEマーキング取得支援、新規制への対応戦略に関するご相談は、以下よりお気軽にお問い合わせください。
豊富な経験と最新の規制知識を活かし、お客様の製品がEU市場で確実に成功できるよう、包括的な支援サービスをご提供いたします。



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