米FCC、外国製先進ロボットを対象に「Covered List」を拡大
メーカーが知っておくべきポイント
米国の連邦通信委員会(FCC)が、特定の先進ロボット機器をCovered Listに追加する決定を下したことは、近年のモバイルロボット業界に影響を与える米国規制の中でも特に重要な動きの一つです。この措置により、米国市場への参入を目指す外国製ロボットプラットフォームに新たな制限が導入され、今後の製品認証戦略、サプライチェーン、および製造戦略に大きな影響を与える可能性があります。
2026年7月28日、FCCは外国製先進ロボットをFCCのCovered List (Link to Public Notice).追加する旨の公示を発表しました。Covered Listは、2019年に制定されたSecure and Trusted Communications Network Actに基づき2020年に導入された制度であり、米国内での輸入、販売、マーケティングに必要な新たなFCC認証の取得が制限される製品リストです。
なお、すでにFCC機器認証を取得している既存モデルについては、引き続き米国への輸入、販売および市場提供が可能です。
Covered Listは製品の輸入そのものを直接禁止する制度ではありません。その代わり、新たに対象となる製品に対してFCC機器認証の取得を制限することで運用されています。多くのロボット製品は、米国内で販売または輸入するためにFCC認証を必要とするため、結果として米国市場へのアクセスが大きく制限される可能性があります。
特にWi-Fi、Bluetooth、セルラー通信などの無線送信機能を搭載したロボット製品は、米国内で輸入・販売・マーケティングを行う前にFCC認証を取得する必要があります。そのため、今回の措置はこうした製品の米国市場参入に大きな影響を与えると考えられます。
なお、今回のCovered Listへの追加は、FCCの定義する外国製先進ロボットに適用されるものであり、すべてのロボット製品が対象となるわけではありません。
FCC 20-99(Link)では、製品またはサービスがCovered Listへ追加されるためには以下の要件を満たす必要があると説明されています。
- 製品またはサービスが「米国の国家安全保障、または米国市民の安全に対して受け入れがたいリスクをもたらす」と判断されること。
- 製品またはサービスが以下のいずれかの機能を有すること。
- ユーザーデータ通信をルーティングまたはリダイレクトできること、あるいは当該機器やサービスが取り扱うユーザーデータやパケットを閲覧可能であること。
- 高度通信サービス事業者のネットワークに対し遠隔から妨害がかのうなこと。
- その他、同等レベルの米国の国家安全保障または米国市民の安全に対し受け入れがたいリスクをもたらすこと。
行政機関による国家安全保障上の判断を受け、FCCは特定の外国製先進ロボット(ARDs)が米国の国家安全保障に対して容認できないリスクをもたらすと結論付け、Covered Listに追加しました。
Advanced Robotic Devices とは何か
- 自律的に移動またはナビゲーションを行うことができる
- 環境センサーを備えている
- ネットワーク接続機能を有している
- センシング、ナビゲーション、または遠隔操作を制御するソフトウェアを搭載している
- 規定された重量閾値である4.4ポンド(約2kg)を超える
医療分野および産業分野の関係者にとって特に注目すべき点として、以下の2つの重要な除外規定があります。
- 外科用器具、医療用および外科用ロボットシステム、歩行支援機器または移動支援機器などの医療機器
- 産業用途または医療用途で使用される、固定式・据置式・非移動型ロボット
産業オートメーション分野において、これは多くの協働ロボット(コボット)を含む従来型の産業用ロボットアームが、固定式・据置式システムであることから、一般的にARDの定義の対象外となることを意味します。 一方で、自律移動ロボット(AMR)、移動型検査ロボット、および製造現場や倉庫で使用される同様の移動プラットフォームは、新たな要求事項の適用対象となる可能性があります。
ロボット技術が進化を続ける中、一部の製品は既存のカテゴリーに明確に当てはまらない場合があります。そのような場合、メーカーは自社製品がFCCのARD定義に該当するか否かを慎重に評価し、その判断根拠を文書化する必要があります。
これは何を意味するのか?
外国で製造されたARD(すなわち、48 CFR §25.101(a)で定義される「国内最終製品(Domestic End Product)」に該当しない製品)については、FCCは新たな機器認証を発行しません。その結果、当該製品は米国へ輸入、販売、または市場投入することができなくなります。
なお、この要求事項は遡及適用されるものではなく、すでに承認を受けたモデルや既に使用されている製品には適用されません。
自社製品のFCC認証取得を希望する外国製ARDメーカーは、条件付き免除(Conditional Waiver)を取得するために、Department of War (DoW)へ申請を行う必要があります。
このDoWへの申請では、企業構造、製造体制、およびグローバルサプライチェーンに関する複数の情報開示が求められます。またFCCは、これらの承認取得手続きに関するガイダンスも公開しています。
さらに条件付き免除の申請においては、米国内の製造能力を新たに確立または拡大するための期限付き計画を提出する必要があります。加えて、これらの条件付き承認は通常18か月以内の期間制限が設けられる点にも注意が必要です。
既存のFCC認証は引き続き有効ですが、外国製ARDについては、今後の製品変更や改修に関して大きな制限を受けることになります。
サイバーセキュリティ上の懸念に対応するため、FCCのOffice of Engineering and Technology (OET)は同時に、一部のソフトウェアおよびファームウェア更新について、安全リスクの低減を目的とした場合に限り認める免除措置(Link)を発表しました。この免除措置は少なくとも2029年1月1日まで有効とされています。
まとめ
外国メーカーにとっては、まず自社製品がARD(Advanced Robotic Device)の定義に該当するか、また「外国製(foreign-produced)」と見なされるかを確認することが重要です。該当する場合は、条件付き承認の申請可能性を検討するとともに、自社のサプライチェーンおよび製造戦略を見直す必要があります。
また、すでに外国製ARDとしてFCC認証を取得しているメーカーについても、製品アップデートにおいてどのような変更が認められるのか、関連ガイドラインを確認する必要があります。
固定式・据置式ロボットが対象外となっているため、従来型の産業用ロボットへの影響は限定的とみられます。しかし、自律移動ロボット(AMR)やその他のネットワーク接続型モバイルロボットプラットフォームのメーカーにとっては、大きな影響を及ぼす可能性があります。
その結果、ARDへの該当性判断、FCC認証戦略、そしてサプライチェーン計画が、米国市場への継続的なアクセスを目指す企業にとって、これまで以上に重要な検討事項になると考えられます。
※本ブログはグローバルサイトに掲載された記事の日本語訳です。原文はこちらよりご確認いただけます。










