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IEC 61508をより明確に解説いたします

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機能安全規格の基盤となる包括的フレームワーク

お客様からよくいただく質問の一つに、「当社の製品にはどの機能安全規格を適用すべきか?」というものがあります。

多くの場合、その答えは比較的明確です。しかし、機能安全規格は断片的に感じられることがあり、特に複数の分野にまたがって事業を展開する組織にとってはその傾向が顕著です。

  • 機械エンジニアはパフォーマンスレベル(PL)を使い、
  • プロセスエンジニアはSILやPFDを用い、
  • 自動車分野ではISO 26262が中心となり、
  • 鉄道、原子力、ガス検知、医療、民生機器など、それぞれが独自のルールブックを持っているように見えます。

こうした多様性から、「これらの規格は根本的に異なるのか、それとも同じ基盤の上に成り立っているのか?」という疑問が自然に生まれます。

答えは明確です。IEC 61508は、ほとんどの業界別規格の基礎となる包括的な機能安全フレームワークです。この関係性を理解することは、単に適合性を達成するためだけでなく、特定の業界や用途において真に安全で、適切かつ合理的なシステムを設計するために極めて重要です。

 

なぜIEC 61508なのか?

IEC 61508は、次のような普遍的な課題に対応するために開発されました。
「安全性が電気・電子・プログラマブル電子システムに依存する場合、どのように体系的にリスクを低減するか?」

特定の業界を対象とするのではなく、IEC 61508は意図的に業界横断的なアプローチを採用しています。具体的には次を定義しています。

  • 機能安全とは何か
  • リスクの評価と低減方法
  • 安全機能の仕様定義方法
  • ハードウェアおよびソフトウェアの設計・検証・妥当性確認方法
  • ライフサイクル全体にわたる安全管理方法

つまり、IEC 61508は用途に依存しない形で、機能安全のアーキテクチャ、用語、ライフサイクルモデルを提供します。これが親規格と呼ばれる理由です。

 

共通の基盤:機能安全ライフサイクル

IEC 61508の中核には、以下を含む機能安全ライフサイクルがあります。

  • コンセプトおよびハザードの特定
  • リスク評価とリスク低減
  • 安全機能の割り当て
  • SIL目標の導出
  • 設計および実装(ハードウェア/ソフトウェア)
  • 検証および妥当性確認
  • 運用、保守、変更管理
  • 廃止

業界に関係なく、主要な機能安全規格はすべてこのライフサイクル構造に従っています。用語や計算方法に違いはあっても、これは偶然ではなく意図的な継承です。

 

IEC 61508から派生した業界別規格

IEC 61508はすべての業界で単独使用されることを意図しているわけではありません。むしろ参照フレームワークとして機能し、各業界規格が実環境に合わせて要件を適応させています。

代表的な例としては以下があります。

  • プロセス産業:IEC 61511
  • 機械安全:ISO 13849、IEC 62061
  • 自動車:ISO 26262
  • ガス検知:EN 50402、EN 50271
  • 鉄道:EN 50126、EN 50128、EN 50129
  • 農業:ISO 25119
  • ロボット:ISO 10218

これらは分野固有の制約や前提、用語を導入していますが、その根底にある考え方はIEC 61508に由来しています。

 

実務上の意味

IEC 61508を包括的フレームワークとして理解することには、いくつかの実務的な利点があります。

  • 分野間でのスキル移転が可能

IEC 61508の基礎を理解したエンジニアは、業界固有規格にも迅速に適応できます。ライフサイクルや故障概念、保証ロジックは共通しているためです。

  • 適合性はゼロから作り直す必要がない

IEC 61508に適合していれば、派生規格への適合も多くの場合その大部分が満たされています。残る差分は主に分野特有の要件です。

  • より良いエンジニアリング判断

要求事項の「内容」だけでなく「理由」を理解することで、安全ソリューションはより効率的で適切かつ説明可能になります。

  • より強固なセーフティケース

規制当局や評価機関はIEC 61508をゴールドスタンダードとして認識しています。その原則に沿うことで、派生規格で認証を取得する場合でも正当性が強化されます。

 

まとめ

IEC 61508は「数ある選択肢の一つ」ではありません。現代の機能安全を支える概念的な中核です。

業界別規格はこれを置き換えるものではなく、「翻訳」したものです。複数分野にまたがる企業や、複数市場向け製品を開発する組織にとって、この位置付けを理解することは不可欠です。

 

Intertek Assuranceができること

どの機能安全規格を適用すべきかを特定することは、多くの企業にとって最初であり最も重要な課題です。特に新市場への参入や異なる業界にまたがる製品では、その判断は容易ではありません。

Intertek Assuranceは、体系的な規格調査と適用性分析を通じて、この初期段階の意思決定を支援し、大規模な設計や認証活動に着手する前に不確実性を解消します。

主な支援内容は以下の通りです。

  • 市場および用途の分析
  • 規格の特定と適用範囲の整理
  • 規格間の重複およびギャップ分析
  • 将来市場への対応(将来適合性の確保)

IEC 61508の包括的原則に基づくことで、Intertek Assuranceはお客様が自信を持って前進できるよう支援します。すなわち、機能安全戦略が技術的に妥当で、リスクに見合い、現在および将来の市場要件に整合していることを確実にします。

※本ブログはグローバルサイトに掲載された記事の日本語訳です。原文はこちらよりご確認いただけます。

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この記事を書いた人

インターテックジャパン 電気・電子部門編集部

インターテックジャパン 電気・電子部門編集部

2005年にインターテックジャパン株式会社に入社。電気・電子部門の営業として、主にIT機器、医療機器、家電製品のEMC試験、無線試験、PSE試験などの各種試験・認証業務に従事。