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新時代の冷媒|低GWP化と安全性を両立する空調機器の規制対応ガイド

コラム

 

地球温暖化対策の国際的な枠組みが強化される中、空調・冷凍機器業界では冷媒の低GWP化が急速に

進んでいます。しかし、環境負荷の低い次世代冷媒の多くは可燃性を有しており、製品設計における

安全対策が不可欠です。特に北米市場では、A2L冷媒を使用する空調・ヒートポンプ機器において、

2025年前後からUL 60335-2-40(第4版)への適合が実質的に必須となり、メーカーには迅速な対応

が求められています。

本記事では、キガリ改正やフロン排出抑制法による規制動向から、IEC/UL 60335-2-40の

安全要求事項、そして認証取得に向けた実践的なポイントまでを解説します。可燃性冷媒への対応を

検討している企業の皆様に、規格適合と市場競争力確保のための指針を提供します。

 

新時代の冷媒とは?低GWP化がもたらす課題

地球温暖化対策の国際的な枠組みにより、空調・冷凍機器の冷媒は大きな転換期を迎えています。

ここでは、冷媒規制の背景と、低GWP冷媒への移行に伴う課題について解説します。

 

キガリ改正とフロン排出抑制法による規制強化

HFC(ハイドロフルオロカーボン)は、オゾン層を破壊しない代替フロンとして普及してきましたが、

地球温暖化係数(GWP:Global Warming Potential)が二酸化炭素の数百倍から1万倍以上と非常に

高いことが問題視されています。

2016年、ルワンダのキガリで開催されたモントリオール議定書締約国会議において、HFCの生産・

消費量を段階的に削減する「キガリ改正」が採択されました。日本を含む先進国は、2019年から規制

を開始し、2036年までに基準量比で85%削減することが求められています。

日本国内では、フロン排出抑制法に基づく「指定製品制度」により、家庭用エアコンや業務用空調機器

などの製造・輸入業者に対して、製品区分ごとにGWPの目標値と目標年度が設定されています。

たとえば、家庭用エアコンは目標GWP値750(目標年度2018年)、店舗・オフィス用エアコンは目標

GWP値750(目標年度2020年)と定められています。

 

R32・R290・R454Bなど主要な低GWP冷媒の特徴

GWP規制に対応するため、従来のR410A(GWP 2,090)やR404A(GWP 3,920)に代わる次世代冷

の開発・採用が進んでいます。主な低GWP冷媒には以下のものがあります。

  • R32(ジフルオロメタン):GWP 675、微燃性(A2L)、単一冷媒として家庭用エアコンで広く普及
  • R290(プロパン):GWP 3以下、強燃性(A3)、天然冷媒として欧州のヒートポンプで採用拡大
  • R454B:GWP 466、微燃性(A2L)、R410Aの代替として北米市場で注目

国際規格ISO 817およびASHRAE 34では、冷媒の燃焼性を冷媒の燃焼性を「1(不燃性)」「2L(微

性:燃焼速度10 cm/s以下)」「2(燃焼性)」「3(強燃性)」の4クラスに分類しています。

低GWP冷媒の多くはこのうち2Lまたは3に分類される可燃性を有しており、機器メーカーには

低GWP化と安全性確保の両立が求められています。

 

なぜ安全規格が厳格化されたのか?IEC/UL 60335-2-40の重要性

可燃性冷媒の普及に伴い、空調機器の安全規格は大幅に見直されました。

ここでは、IEC/UL 60335-2-40の役割と、メーカーに求められる具体的な対策について解説します。

 

冷媒漏洩時の発火・爆発リスク

可燃性冷媒が機器から漏洩した場合、空気と混合して可燃性濃度(LFL~UFL)に達すると、電気接点

のスパークや高温部品などの着火源により、発火や(冷媒の種類によっては)爆燃・爆轟のリスクが

生じます。特に密閉された室内空間では冷媒濃度が上昇しやすいため、漏洩の早期検知と適切な安全

措置が不可欠です。

このリスクに対応するため、電気機器の国際安全規格であるIEC 60335シリーズのうち、可燃性冷媒

を使用する空調・冷凍機器を対象としたIEC 60335-2-40では、可燃性冷媒に関する追加の安全要求

事項が整備されています。

 

IEC/UL 60335-2-40の最新版における改正ポイント

IEC 60335-2-40は、ヒートポンプ、エアコン、除湿機などの電気機器に適用される国際安全規格で

す。ISO 817およびASHRAE 34で分類されるA1(不燃性)、A2L(微燃性)、A2(燃焼性)、A3

(強燃性)の冷媒を対象としています。

国際規格IEC 60335-2-40の2022年版(Edition 7.0)および北米規格UL 60335-2-40の2022年版

(Edition 4.0)では、可燃性冷媒に対する安全要求事項が大幅に強化されました。北米市場では、

A2L冷媒を使用する空調・ヒートポンプ機器を中心に 、新製品のUL60335-2-40への適合が必須と

なっています。

主な改正ポイントは以下のとおりです。

  • 冷媒漏洩検知システム(RDS:Refrigerant Detection System)の機能要件の詳細化
  • 模擬漏洩試験による安全性評価の追加
  • 潜在的な着火源の排除に関する要求事項の強化
  • 冷媒充填量制限の見直し

 

漏洩検知・着火源排除など機器設計に求められる安全対策

可燃性冷媒を使用した機器の一部で、IEC/UL 60335-2-40に適合するため、機器メーカーには以下の

対策が求められます。

  • 漏洩検知システムの導入:冷媒漏洩検知システム(RDS)を設置し、冷媒濃度が下限引火点(LFL:Lower Flammability Limit)の25%以下で作動して機器を安全に停止させる仕組みを構築します。センサーの応答速度、信頼性、誤報対策、設置位置などの要件はIEC 60335-2-40(Annex LL/CC)および UL 60335-2-40 で詳細に規定されています。

 

  • センサーの適切な配置:冷媒センサーを漏洩リスクの高い箇所に適切に配置し、確実な検知を可能にします。冷媒の比重(空気より重いか軽いか)を考慮した設置位置の選定が重要です。

 

  • 冷媒充填量の制限:設置される部屋の最小占有容積に基づく冷媒充填量制限に適合させます。万が一全量が漏洩した場合でも、室内濃度がLFLを超えないよう設計することが求められます。

 

  • 内部着火源の排除:リレー、スイッチ、モーターなど、電気スパークを発生させる可能性のある部品について、可燃性雰囲気で着火しないよう設計するか、適切な保護対策を講じます。

 

適合性評価のプロセスとパートナー選定

可燃性冷媒対応製品の認証取得には、従来の電気安全評価とは異なる専門的なアプローチが必要です。

ここでは、適合性評価の流れと、試験機関選定のポイントについて解説します。

 

従来の電気安全試験に加え求められる評価項目

可燃性冷媒対応製品の認証では、従来の電気安全試験に加えて、以下の評価が必要となります。

  • 冷媒漏洩検知システム(RDS)の機能評価
  • 模擬漏洩試験による冷媒拡散挙動の確認
  • システム全体の安全リスク評価
  • 着火源排除措置の妥当性確認

これらの試験を適切に実施するためには、可燃性冷媒の取り扱いに関する専門知識と、最新規格に対応

した試験設備が不可欠です。

 

従来の電気安全試験に加え求められる評価項目

UL 60335-2-40などの安全規格に基づくNRTL認証は、北米市場に製品を投入するうえで事実上の必須

要件となっています。ETLマークを取得することで、製品が認定された安全基準を満たしていることを

証明できます。

また、IEC 60335-2-40に基づくCB認証を取得すれば、CBスキーム加盟国への展開が容易になり、

グローバル市場での競争力向上につながります。環境規制に適合した「安全なグリーン製品」である

ことを第三者認証によって証明することは、企業のブランド価値向上にも寄与します。

 

試験機関を選ぶ際の4つのチェックポイント

可燃性冷媒対応製品の認証パートナーを選定する際には、以下の点を確認することをお勧めします。

 

1.最新規格への対応実績:IEC/UL 60335-2-40の最新版(2022年版以降)に対応し、可燃性冷媒を

 使用した製品の認証発行実績があるか。

 

2.専門的な試験設備:可燃性冷媒を安全かつ正確に扱うための専用試験設備を有しているか。

 模擬漏洩試験や冷媒濃度測定が可能か。

 

3.ワンストップサービス:冷媒安全性だけでなく、製品安全認証(ETL/cETL認証)、国際展開に

 向けたCB認証、性能試験(AHRI認証など)まで、関連する認証をまとめて対応できるか。

 

4.グローバルネットワーク:北米だけでなく、欧州(EN 60335-2-40)、アジア各国(CCC、KC、

 PSEなど)といった複数地域の認証に対応できる体制があるか。

 

インターテックの可燃性冷媒対応支援サービス

インターテック(Intertek)は、世界100ヶ国以上に拠点を持つ総合品質保証のリーディングカンパニ

ーです。HVAC/R分野において、IEC/UL 60335-2-40の最新版(2022年版以降)に対応した試験・

認証体制を整備し、R32、R454B、R290などの可燃性冷媒を使用した空調機器の認証実績を多数保有

しています。

冷媒漏洩検知システムの機能評価に対応した専用試験設備を備え、グローバルネットワークを活用した

ワンストップ認証サービスを提供しています。

 

適合性評価からグローバル認証まで対応可能なサービス

インターテックでは、可燃性冷媒対応製品に関して以下のサービスを提供しています。

  • IEC/UL 60335-2-40 適合性評価:冷媒漏洩検知システム要件を含む、可燃性冷媒対応の最新規格への適合を総合的に評価・認証します。

 

  • グローバル認証サポート:ETL/cETL認証(北米)、CB認証(グローバル)など、世界各地域の市場参入に必要な認証取得を支援します。

 

  • ギャップ分析:現行製品と最新規格要求事項との差異を分析し、適合に向けた具体的な対応策を明確化します。

 

  • 技術トレーニング:UL 60335-2-40の要求事項や可燃性冷媒の安全対策に関するウェビナー・研修を提供しています。

 


【インターテックジャパンに依頼するメリット】

  • リスク回避

複雑な安全要件を確実に満たし、製品リコールや重大事故のリスクを最小化できます。

  • 市場投入の加速

最新規格への適合を迅速に進め、環境規制対応製品のタイムリーな市場投入を実現します。

  • グローバル展開の効率化

IEC 60335-2-40は国際的に整合された規格であり、一度の評価で複数市場への展開が可能です。


 

安全性規制への早期対応がHVAC機器の未来を決める

地球温暖化対策の国際的な枠組みが強化される中、キガリ改正とフロン排出抑制法によりHFCの生産

・消費量削減が義務付けられ、低GWP冷媒への転換は不可避な流れとなっています。

R32、R290、R454Bなどの低GWP冷媒の多くは可燃性を有しており、IEC/UL 60335-2-40の最新版

では、冷媒漏洩検知システムの機能要件をはじめとする厳格な安全要求事項が規定されています。

北米市場では、A2L冷媒を使用する空調・ヒートポンプ機器において UL 60335-2-40(Edition 4.0)

への移行が進んでおり、2025年前後には事実上の必須要件となる見込みです。最新の安全規格への

早期かつ確実な適合は、単なるコンプライアンス対応にとどまらず、環境性能と安全性を両立した製品

を市場に投入することで、企業としての技術力・信頼性を示し、持続可能な成長につなげることができ

ます。インターテックは、可燃性冷媒対応製品のIEC/UL 60335-2-40適合に関する試験・認証

サービスを提供しています。

規格の詳細や認証プロセスについてご質問がございましたら、お気軽にお問い合わせくさい。

また、UL 60335-2-40の要求事項を解説するウェビナー(オンデマンド配信)もご用意して

ますので、ぜひご活用ください。

ウェビナー視聴はこちら

この記事を書いた人

インターテックジャパン 電気・電子部門編集部

インターテックジャパン 電気・電子部門編集部

2005年にインターテックジャパン株式会社に入社。電気・電子部門の営業として、主にIT機器、医療機器、家電製品のEMC試験、無線試験、PSE試験などの各種試験・認証業務に従事。