facebook Twitter Instagram 日本グループ日本グループ Global WebsiteGlobal Website

お問い合わせ

お申込書ダウンロード

メルマガ登録はこちら

パンフレットDLはこちら

メディア

SEMI F47とは?半導体製造装置に求められる電圧降下耐性

コラム

半導体製造イメージ1

半導体製造現場において、わずかな電圧変動が装置の停止や製品品質の低下を引き起こし、

甚大な損失につながることは珍しくありません。こうした課題に対処するため、半導体業界では

「SEMI F47」という電圧降下耐性に関する規格が重要視されています。

本記事では、SEMI F47規格の詳細から実際の試験方法、そして規格適合によるメリットなどを

解説します。半導体製造装置の安定稼働を実現し、競争力の高い製品開発につなげるために

参考にしてください。

インターテックジャパン 電気・電子部門
お問い合わせはこちら

SEMI F47とは?半導体製造装置の電圧降下耐性規格

半導体製造プロセスにおいて、安定した電力供給は製品品質と生産効率を左右する重要な要素です。

しかし、工場内の設備故障や大きな負荷変動により、突然の電圧降下(電圧サグ)が発生すること

があります。このような電力トラブルから装置を保護するために策定されたのがSEMI F47規格です。

 

半導体製造における電力安定性の重要性

半導体製造装置は、ナノメートル単位の精密な加工を行うため、わずかな電力変動でも製品の

歩留まりに深刻な影響を与えます。

電圧降下が発生すると、以下のような問題が生じる可能性があります。

 

  • プロセス条件の変動による製品品質の低下
  • 装置の予期しない停止によるウェハの損失
  • 製造ラインの長時間停止
  • 装置の再立ち上げに伴う時間とコストの増大

 

 SEMI F47の目的

SEMI F47は、半導体製造装置が電圧降下に対してどの程度の耐性を持つべきかを

規定した国際規格です。

この規格により装置メーカーは統一された基準に基づいて電圧降下耐性を設計・評価することができ

半導体メーカーは信頼性の高い装置を選定することが可能になります。

 

SEMI規格とSEMI F47の位置づけ

SEMI(Semiconductor Equipment and Materials International)は、

半導体および関連産業における装置・材料の国際標準化団体です。

SEMI規格は、半導体製造装置の安全性、環境適合性、性能に関する包括的な基準を提供しており、

その中でSEMI F47はEMC(電磁適合性)分野における重要な規格として位置づけられています。

SEMI規格とは?半導体製造業界を支える国際標準の基礎知識

 

対象機器

SEMI F47の対象となる機器は以下の通りです。

  • 半導体製造装置:エッチング装置、CVD装置、スパッタリング装置、イオン注入装置など
  • FPD製造装置:液晶・有機ELディスプレイ製造装置
  • 精密計測機器:検査装置、測定機器
  • 周辺装置:ガス供給装置、排ガス処理装置、搬送装置など

 

規格適合の意義

SEMI F47への適合は、単なる技術的要件の充足にとどまらず、半導体製造装置の品質と信頼性を

市場に証明する重要な指標となります。

多くの半導体メーカーでは、装置調達の際にSEMI F47適合を必須要件として求めるケースが

増加しています。

 

 SEMI F47が求める電圧降下耐性の具体的な要件

SEMI F47は、特定の電圧低下シナリオに対する装置のライドスルー(Ride-Through)能力を規定

しています。ライドスルー能力とは、装置が一時的な電圧低下に耐え、正常な動作を維持する能力

のことです。

 

規格では、電圧低下の「深さ(電圧降下率)」と「継続時間」の組み合わせが定められており、

装置がその条件下で正常に稼働し続けることが求められます。例えば、電圧が50%に低下し、

200ミリ秒継続するといった条件に対する耐性が規定されています。

 

これらの要件を満たすためには、装置の電源ユニットや制御システムに、

電圧低下を乗り切るための設計(例:エネルギー貯蔵コンデンサの搭載など)が必要となります。

 

SEMI F47試験の内容と流れ

SEMI F47適合性を確認するための試験は、厳密に管理された環境下で実施され、

装置の電圧降下耐性を客観的に評価します。

 

試験方法の概要

SEMI F47試験は、実際の半導体製造環境で発生する電圧降下を人工的に再現し、

被試験装置(DUT:Device Under Test)の応答を詳細に観察・記録する試験です。

試験は段階的に実施され、各電圧降下レベルでの装置の挙動を体系的に評価します。

 

 必要な試験環境と設備

必要な試験環境と設備についてお伝えします。

 

 電圧変動発生装置(サグジェネレーター)

試験の中核となる設備で、規格で定められた様々な電圧降下パターンを正確に生成します。
以下の性能が要求されます。

  • 出力容量:大電流容量の大型装置にも対応可能
  • 電圧範囲:AC 0V~最大310V程度の可変範囲
  • 周波数範囲:50Hz/60Hzおよび各種周波数に対応
  • 精密制御:電圧降下の深さと継続時間を精密に制御

 

精密測定機器

装置の状態監視と応答記録のため、以下の測定機器が使用されます。

  • 高精度電力測定器
  • オシロスコープ
  • データロガー
  • 各種センサー(温度、振動、ガス流量など)

 

適切な環境管理

  • 温度・湿度の制御
  • 電磁干渉の遮蔽
  • 安全な試験空間の確保

 

具体的な試験項目と手順

具体的な試験項目と試験の手順を見ていきましょう。

事前準備

まずは、以下の事前準備が必要になります。

  • 装置の初期状態確認:正常動作の確認と基準値の記録
  • 試験計画の策定:装置仕様に応じた試験シーケンスの決定
  • 安全対策の実施:緊急停止システムの確認

 

試験実施

試験は、次の順序で行われます

1. 段階的電圧降下試験 

    • 軽微な電圧降下から開始
    • 段階的に降下レベルを上げて実施
    • 各段階で装置の応答を詳細に記

2.継続時間変更試

    • 同一降下レベルで継続時間を変更
    • 置の時間依存性を評価

3. 反復試験

    • 重要なポイントでの再現性確認
    • 統計的に有意なデータの取得

 

評価・判定

試験結果は、規格で定められた判定基準に基づいて評価され、装置のカテゴリ分類が決定されます。
また、改善が必要な場合は、具体的な対策提案も含めた詳細な評価レポートが作成されます。

インターテックジャパン 電気・電子部門
お問い合わせはこちら

 

SEMI F47適合のメリットと未適合のリスク

半導体製造イメージ2

SEMI F47への適合は、単なる規格要件を満たすことだけでなく、企業の競争力向上と持続的成長に

直結する重要なことです。

 

適合によるメリット

SEMI F47規格への適合は、装置メーカーにとって多面的な価値をもたらします。

生産性の向上から市場での競争優位性確立まで、その効果は企業活動全体に及びます。

具体的に得られるメリットを説明します。SEMI F47への適合は、単なる規格要件を満たすことだけで

なく、企業の競争力向上と持続的成長に直結する重要なことです。

 

製造ラインの安定稼働と生産性向上

SEMI F47適合装置は、電圧変動に対する高い耐性を持つため、以下の効果が期待できます。

  • ライン停止時間の大幅削減:電圧降下による予期しない装置停止の回避
  • 歩留まり向上:プロセス条件の安定化による製品品質の向上
  • 計画的メンテナンス:予測可能な保守スケジュールの実現
  • オペレーション効率化:装置再起動時間の短縮

 

装置の信頼性向上と企業ブランド価値の向上

規格適合により、以下のブランド価値向上効果が得られます。

  • 技術力の証明:国際規格適合による技術的信頼性の客観的証明
  • 品質保証:厳格な試験をクリアした製品であることの市場アピール
  • 顧客満足度向上:安定稼働による顧客からの信頼獲得
  • 差別化要素:競合他社との明確な差別化ポイント

 

グローバル市場における競争優位性の確立

国際規格であるSEMI F47への適合は、以下の市場競争力をもたらします。

  • 海外市場参入の促進:国際的に認められた品質基準のクリア
  • 大手顧客との取引機会拡大:主要半導体メーカーの調達要件充足
  • プレミアム価格設定:高品質製品としてのポジショニング
  • 長期契約の獲得:信頼性に基づく継続的取引関係の構築

 

未適合がもたらすリスク

一方、SEMI F47への未適合は、企業に深刻な経営リスクをもたらします。

技術的な問題から事業継続性の危機まで、その影響は多岐にわたります。

 

頻繁なライン停止による生産性低下

SEMI F47未適合装置では、以下の生産性リスクが顕在化します。

  • 計画外停止の多発:電圧変動による予期しない装置停止
  • 復旧時間の長期化:装置再立ち上げに要する時間とコスト
  • 生産計画の狂い:納期遅延や生産能力不足の発生
  • 人的リソースの浪費:トラブル対応による技術者の工数圧迫

 

装置の損傷や寿命短縮

電圧変動に対する耐性不足は、以下の技術的リスクを招きます。

  • 電気部品の劣化加速:反復的な電圧ストレスによる部品寿命短縮
  • 制御システムの不安定化:予期しない動作による制御精度低下
  • メンテナンスコスト増大:頻繁な部品交換や修理の必要性
  • 装置全体の早期更新:予定よりも早い装置更新の必要性

 

製品の品質低下、不良品の発生

プロセス装置の不安定動作は、以下の品質リスクを引き起こします。

  • プロセス条件の変動:電圧変動によるプロセスパラメータの不安定化
  • 製品特性のばらつき拡大:品質の一貫性確保困難
  • 歩留まりの低下:不良品発生率の増加

 

顧客からのクレーム、契約不履行、法的・事業リスク

市場での信用失墜は、以下の深刻な事業リスクにつながります。

  • 顧客との契約解除:品質問題による取引停止
  • 賠償責任の発生:製品不良による損害賠償請求製品特性のばらつき拡大:品質の一貫性確保困難
  • 新規受注機会の喪失:市場での評判悪化による営業機会減少
  • 企業価値の毀損:ブランドイメージの低下と株価への影響

 

インターテックジャパンが提供するSEMI F47試験サービス

インターテックジャパンでは、豊富な実績と最先端の設備を活用し、SEMI F47規格に関する包括的な

評価試験サービスを提供しています。そのサービスの特長を簡単に説明します。

 

米国Intertek GS3との強力なタイアップ

インターテックジャパンは、米国のIntertek GS3(Global Semiconductor Safety Services)との

緊密な連携により、豊富な実績および高い品質でサービスを提供しています。

 

  • 豊富な評価実績:1,000台以上の半導体製造装置評価実績
  • グローバル品質基準:世界最高水準の試験・評価技術

 

最先端の測定機材と設備

SEMI F47試験に必要な専用機材を完備しています。

  • サグ試験器(SEMI F47対応):精密な電圧降下シミュレーション
  • 大容量対応:様々な規模の装置に対応可能
  • 高精度測定:正確で再現性の高い試験結果の提供
  • 完全な環境制御:信頼性の高い試験環境の確保

 

包括的な評価サービス範囲

前工程から後工程まで、幅広い半導体製造装置に対応します。

  • プロセス装置:エッチング、成膜、注入、露光装置など
  • 検査・測定装置:品質管理・計測機器
  • 搬送・周辺装置:自動化システム、ユーティリティ装置
  • 関連機器:排ガス処理、ガス供給システムなど
インターテックジャパンに依頼するメリット
  • 01

    ワンストップソリューション

    評価から認証まで一貫したサービス提供により、お客様の負担を軽減します。

  • 02

    国際的な信頼性

    グローバルに認められた認証機関として、世界市場で通用する認証を提供します。

  • 03

    専門的な知識とノウハウ

    産業用制御システムと機能安全の両分野における深い専門知識により、
    効果的なセキュリティ対策を提案します。

  • 04

    迅速な市場投入

    豊富な経験に基づく効率的な評価プロセスにより、製品・システムの迅速な市場投入を支援します。

インターテックジャパン 電気・電子部門
お問い合わせはこちら

 

SEMI F47適合で半導体製造装置のレジリエンスを高める

半導体産業を取り巻く環境が急速に変化する中、製造装置の電圧降下耐性は単なる技術仕様を超えて、

企業の競争力を左右する重要な要素となっています。

現代の半導体製造において、SEMI F47への適合は以下の戦略的価値を提供します。

 


・事業継続性の確保
予期しない電力トラブルからの迅速な回復

 

・品質競争力の向上
安定したプロセス条件による高品質製品の実現

 

・コスト競争力の強化
計画外停止コストの削減と生産効率の最大化

 

・市場競争力の獲得
国際規格適合による差別化とブランド価値向上

 

SEMI F47への適合は、短期的なコストではなく、長期的な成長と競争力確保のための

戦略的投資として捉えるべきです。

規格適合により得られる信頼性と品質は、顧客との長期的なパートナーシップ構築と

市場での確固たる地位確立につながります。

お客様の半導体製造装置の競争力向上を、インターテックジャパンが全力でサポートいたします。

SEMI F47試験に関するご相談、お見積もり、技術的なお問い合わせは、

以下よりお気軽にご連絡ください。

 

経験豊富な技術エキスパートが、お客様の装置特性に最適化された試験プログラムと

改善提案をご提供いたします。

インターテックジャパン 電気・電子部門
お問い合わせはこちら

この記事を書いた人

インターテックジャパン 電気・電子部門編集部

インターテックジャパン 電気・電子部門編集部

2005年にインターテックジャパン株式会社に入社。電気・電子部門の営業として、主にIT機器、医療機器、家電製品のEMC試験、無線試験、PSE試験などの各種試験・認証業務に従事。