電波法指定較正と認定校正|無線通信測定器の信頼性を保証する2つの制度

無線通信機器の製造・試験に携わる企業において、測定器の精度と信頼性の確保は製品品質を左右する
重要な要素です。日本では「電波法指定較正」と「認定校正」という2つの校正制度が、それぞれ
異なる目的と基準のもとで測定器の信頼性を保証しています。
これらの制度を正しく理解し、適切に活用することで、法的リスクの回避と国際市場での信頼性向上を
両立できます。本記事では、両制度の概要から目的の違い、具体的なメリットまで詳しく解説し、貴社
のビジネス成功に向けた測定器管理戦略をサポートします。
目次
電波法指定較正と認定校正とは?2つの校正制度の概要
無線通信機器の測定には、精度が保証された測定器が不可欠です。
日本では、この精度保証のために2つの主要な校正制度が確立されています。
電波法指定較正とは
電波法指定較正とは、電波法第102条の18に基づき、総務大臣が指定した機関のみが実施できる強制的
な校正制度です。無線設備の検査・点検を行う登録検査等事業者や登録証明機関が使用する測定器は、
この指定較正を受けることが法的に義務付けられています。
【対象測定器】
- 周波数計
- スペクトル分析器
- 電界強度測定器(受信器、アンテナ、測定経路)
- 高周波電力計
- 電圧電流計
- 標準信号発生器
- 周波数標準機
総務大臣の指定を受けた機関のみが業務を行えます。インターテックジャパンは指定を受けています。
認定校正とは
認定校正とは、ISO/IEC 17025という国際規格に基づいて校正機関の技術的能力と品質マネジメント
システムを第三者機関が認定する制度です。この制度は国際的に統一された基準で運営され、
測定の不確かさを含む詳細な校正証明書が発行されます。
IAJapan(International Accreditation Japan)、JAB(公益財団法人日本適合性認定協会)、
NVLAP(National Voluntary Laboratory Accreditation Program)、
A2LA(American Association for Laboratory Accreditation)などの認定機関より認定を受けた校正
機関が実施します。
【特徴】
- ISO/IEC 17025に基づく国際標準
- 測定の不確かさを明記
- 国家標準へのトレーサビリティを確保
- 国際相互承認協定(ILAC MRA)によるグローバルな受入れ
なぜ両方の制度が重要なのか?目的の違いとメリット
両制度は異なる目的を持ち、それぞれ特有のメリットを提供します。企業の事業展開において、
どちらも欠かせない役割を果たしています。
法規制遵守とビジネスリスクの回避
法規制の遵守と市場要求への対応は、どちらも企業の持続的な事業運営において不可欠な要素です。
電波法指定較正の重要性
電波法指定較正を受けない測定器で無線機器の試験を行った場合、電波法第110条に基づく業務停止命
令や罰金等の行政処分を受ける可能性や事業活動の停止リスクが生じます。
登録検査等事業者等として事業を継続するためには、法定の較正が不可欠です。
認定校正の重要性
顧客や市場からISO/IEC 17025準拠の校正結果が求められる場合、認定校正は必須の要件となりま
す。
特に品質マネジメントシステム(ISO 9001)や自動車産業向けのIATF 16949などの認証を取得・
維持する際には、測定器の認定校正が要求されることが一般的です。
国際的な信頼性と効率化
認定校正は、ILAC MRA(国際試験所認定協力機構相互承認協定)の基盤となる制度です。
ILAC MRA署名認定機関が発行した校正証明書は、加盟国間で相互に受け入れられるため、
製品を複数の国に輸出する際の再校正の手間とコストを大幅に削減できます。
これにより、「一度認定を受ければ、どこでも受け入れられる(Accredited Once, Accepted
Everywhere)」というメリットを享受できます。
測定器の信頼性確保
両制度とも、測定器の精度を一定水準に保つことで、試験結果の信頼性を高め、製品の品質を保証する
上で不可欠なプロセスです。ただし、アプローチが異なります。
- 電波法指定較正:法的要件の充足に重点
- 認定校正:国際標準への適合と技術的能力の証明に重点
校正サービスの活用でビジネスを成功へ

測定器の校正は、単なる法的要件の充足を超えて、企業の競争力強化に直結する戦略的投資です。
コスト削減効果
適切な校正制度の活用により、企業は測定器管理にかかる時間とコストを大幅に削減できます。
再校正の回避
認定校正により国際相互承認に対応した校正証明書を取得することで、輸出先での再校正コストを削減
できます。複数国への展開を計画している企業にとって、大幅なコスト削減効果が期待できます。
特に、ILAC MRA(国際試験所認定協力機構相互承認協定)の加盟国間では「Accredited once,
accepted everywhere(1度の認定で世界中で受け入れ)」の原則に基づき、一度の認定校正で各国が
相互承認するため、輸出先での再校正が不要となります。
トレーサビリティ資料の簡素化
認定校正証明書には、認定機関のシンボルマークが付与され、これ自体がトレーサビリティの証明と
なります。従来必要だった詳細なトレーサビリティ体系図や上位機関の校正証明書などの資料準備が
不要になります。
ビジネス機会の拡大
認定校正による国際標準への対応は、新たな市場機会の創出と既存ビジネスの競争力向上に
直結します。
顧客信頼の向上
国際標準に準拠した校正証明書は、顧客に対する技術的信頼性の証明となります。
特に海外展開において、現地顧客からの信頼獲得が容易になります。
入札参加資格の確保
官公庁や大企業の入札では、ISO/IEC 17025認定校正を受けた測定器の使用が要件として定められる
ことが増えています。認定校正への対応により、これらの案件への参加機会を確保できます。
実際に、日本国内の公共調達案件でもISO/IEC 17025認定校正証明書の提出を求める事例が年々増加
しており、認定校正は国内外を問わず入札参加の重要条件として定着しつつあります。
リスク管理の強化
両校正制度の適切な活用により、企業の事業継続リスクを大幅に軽減できます。
法規制変更への対応
電波法指定較正により、法規制の変更にも柔軟に対応できます。指定較正機関は最新の法的要件を把握
し、適切な校正を実施するため、規制遵守リスクを最小化できます。
品質マネジメントシステムとの整合
認定校正は、ISO 9001やIATF 16949などの品質マネジメントシステム要求事項と整合するため、
統合的な品質管理が実現できます。
インターテックの校正サービスについて
インターテックジャパンは、両制度に対応したワンストップサービスを提供する専門機関です。
ワンストップで両制度に対応
インターテックジャパンは2013年2月6日に電波法第102条の18第1項の規定に基づき、指定較正機関
として総務大臣の指定を受けました。
電波法に基づく測定器の較正業務を適正かつ確実に実施しています。
同時に、ISO/IEC 17025に準拠した国際的な認定校正サービスも提供可能です。
JCSS(計量法に基づく校正事業者登録制度)認定およびNVLAP(National Voluntary Laboratory
Accreditation Program)認定を取得しており、一つの機関で両制度の要求を満たすことができます。
柔軟なサービス形態
お客様のご要望される場所へ専門エンジニアが出張し、現地で校正作業を実施する出張校正サービスを
提供しています。これにより、工場や現場の稼働停止を最小限に抑え、輸送による測定器の損傷リスク
を排除できます。
受託校正においては、被校正測定器到着から約1週間での納品が可能です。お急ぎの場合は、
特急サービスにより翌営業日発送にも対応しています。
さらに、校正期間中の業務継続のため、同等機能を有する代替機器の無償レンタルサービス
(輸送費のみご負担)も提供しており、お客様の業務に支障をきたすことなく校正を実施できます。
幅広い対応品目
電波法指定較正の全対象品目をカバーしており、直流からミリ波帯まで幅広い測定機器に
対応しています。
- 周波数計
- スペクトル分析器
- 電界強度測定器
- 高周波電力計
- 電圧電流計
- 標準信号発生器
- 周波数標準機
2つの校正制度を理解し、安心のビジネス展開へ
電波法指定較正と認定校正は、それぞれ異なる目的と価値を持つ重要な制度です。
電波法指定較正による法規制遵守と、認定校正による国際標準への適合を両立させることで、
国内外の市場で信頼される製品を提供できます。
この二重の保証体制により、ビジネスリスクを最小化し、成長機会を最大化できます。
両制度に対応できる専門機関との長期的パートナーシップは、技術的な信頼性確保だけでなく、
規制動向の早期把握や最適な校正戦略の構築にも貢献します。インターテックのような経験豊富な
機関との連携により、測定器管理における最適解を実現し、持続的な事業成長を支援します。
無線通信機器業界において、測定器の信頼性は製品品質の根幹を支える要素です。
両制度を適切に活用し、信頼性の高い製品を市場に投入することで、
持続的な事業成長を実現しましょう。
校正サービスに関するご質問やお見積もりについては、お気軽にお問い合わせください。
経験豊富な専門スタッフが、お客様のニーズに最適なソリューションをご提案いたします。









