【CSA C22.2 No. 301対応ガイド vol.6】ロボット専用試験と附属書Dの解説
目次
産業環境におけるロボット技術の統合
2023年における CSA C22.2 No. 301 規格の最も重要な改訂の一つは、産業用ロボットおよびロボット機器が新たに適用範囲に含まれたことです。この変更は、産業環境へのロボット技術の導入が進んでいる現状と、安全性および性能に関する包括的な基準の必要性を反映しています。
ロボットの認証要件
CSA C22.2 No. 301 の認証を受けるためには、産業用ロボットは以下の要件に適合する必要があります:
・ セクション1〜19で定められた一般要件
・ 附属書Dに記載されたロボット固有の追加要件
・ 電気以外の安全面については CSA Z434 に準拠すること
一般要件(セクション1〜19)の主な更新点
特に注目すべき追加項目はセクション19に見られ、ロボットシステムを対象とした新しい試験が複数追加されました:
・ 19.8 – バッテリーの過充電試験
・ 19.9 – バッテリーの放電試験
・ 19.10 – コンポーネントの故障試験
・ 19.11〜19.14 – その他の安全・性能試験
バッテリー駆動のロボットにおいては、これらの試験に直接合格するか、認証済みのバッテリーマネジメントシステム(BMS)を使用することでリスクを低減する必要があります。なお、準拠したBMSを使用しない場合、以下の点に注意が必要です:
複数の試験サンプルが求められる場合がある
試験はバッテリーやBMSコンポーネントを破壊する可能性がある
附属書D:ロボット専用の試験
附属書Dでは、ロボットシステム特有の要件に対応するための追加試験が導入されています:
・ D.7 – 温度試験
・ D.8 – 異常運転試験
・ D.9 – 機械的負荷試験
・ D.10 – 機械的耐久試験
特に重要なのは **D.8「異常運転試験」**で、モーター、ブレーキ、冷却システムなどの各コンポーネントに意図的な故障を加える内容です。これらの試験は破壊的であるため、製造業者は十分な準備が必要です。
D.10「機械的耐久試験」では、ロボットアームに定格負荷をかけた状態で10万サイクルの動作が求められます。試験後、アームは性能や安全性において劣化がないことが求められます。この試験は、条項19.12「屈曲試験」(導体の完全性と安全機能を確認する試験)と併せて実施されるのが一般的です。
CSA Z434 との統合
CSA C22.2 No. 301 は、CSA Z434 への直接的な言及を含むようになりました。これは ISO 10218-1:2011 および ISO 10218-2:2011 をカナダで採用した規格です。附属書D.2にあるように、一般的には CSA Z434 に従う必要がありますが、特にペンダント制御装置や操作インターフェースなどの電気以外の安全要件に関して重要です。
結論:ロボット技術と CSA C22.2 No. 301
2023年の改訂によって、CSA C22.2 No. 301 は産業用オートメーションの進化に対応したカナダの規格として、より整合性のあるものになりました。ロボットシステムを扱う製造業者やエンジニアは、これらの変更点を十分に理解し、法令順守と安全確保のために対応する必要があります。
なお、今回のブログは CSA C22.2 No. 301 第2版の改訂内容に関するレビューの最終回となります。さらなる情報が必要な製造業者の方は、当社の専門チームまでお気軽にお問い合わせください。









