【CSA C22.2 No. 301対応ガイド vol.4】バッテリー・ボンディング・配線方法の新要件
バッテリー、ボンディング、配線方法に関する新しい要件
CSA C22.2 No. 301 規格の 2023 年改訂についてのブログシリーズ第 4 回へようこそ。今回は、特に重要な3つの分野 ― バッテリー、ボンディング(接地結合)、配線方法 ― に焦点を当てます。これらは今回の改訂で大きな変更が加えられた部分です。
すべての産業機械にバッテリーが含まれるわけではありませんが、ボンディングと配線方法の改訂は、電気機器を扱うほぼすべての製造業者に影響します。これらの変更は、安全性の向上、コンプライアンス要件の明確化、そして進化する技術 ― 特にロボティクスや可搬型電源 ― に対応するために設けられました。
それでは、新しい内容とそれが設計に与える影響を見ていきましょう。
バッテリー
ロボティクスが標準に加わったことにより、バッテリーおよびバッテリー回路を規格で取り扱う必要があると判断されました。そのため、バッテリーを主電源とする機械は、CSA C22.2 No. 301 の 第5.7項の要件に準拠しなければなりません。追加されたバッテリーに関する要件は以下の通りです:
・ バッテリーは適用されるバッテリー規格に準拠していること
・ 過充電および過放電試験に合格していること
・ 端子および回路は偶発的な接触や短絡から保護されていること
この規格における「バッテリー」という用語は、単体のバッテリー、複数のバッテリーを接続したもの、またはバッテリーパックを指します。カナダでよく用いられる関連規格として ANSI/CAN/UL 1973 および ANSI/CAN/UL 9540 が挙げられていますが、カナダで認められる同等の規格であれば他のものを使用しても構いません。
バッテリーのエネルギーは常に利用可能で、完全に切り離すことができないため、感電の危険性が懸念されます。したがって、設置・交換・通常使用時において人が安全に作業できるように保たれなければなりません。一般的には保護バリアを設けますが、場合によっては電気的な間隔(クリアランス)で十分な場合もあります。
ボンディング(接地結合)
CSA C22.2 No. 301 第2版では、機器のボンディングに関する誤りや抜け落ちが修正されました。第2版での主な変更点は以下の通りです:
・ ボンディングは CSA C22.2 No. 0.4 に準拠すること
・ 非金属製エンクロージャのボンディング要件を追加
CSA C22.2 No. 0.4 は、カナダにおける電気機器のボンディングに関する横断的規格(共通要求事項)であり、構造要件および試験要件を含みます。カナダ規格への適合設計でよく見落とされる点として、CSA C22.2 No. 0 およびその派生規格(No. 0.x シリーズ)への参照や、その中に記載された要件を確認し忘れることが挙げられます。
また、非金属製エンクロージャを持つ電気機械については、第1版では誤ってボンディング要件が抜け落ちていました。第2版では第8.5項において以下のような要求が追加されています:①特定条件下では、ライン終端のエンクロージャのボンディングを不要とする場合がある②ボンディング導体のサイズの規定③露出した金属部分には必ずボンディングを施すこと
配線方法
CSA C22.2 No. 301 に該当する一部の製品は「スキッド(skid)」に取り付けられています。スキッドとは、規格で定義されており、再配置可能な構造物・コンテナ・開放型フレーム構造などに機械を据え付ける場合を指します。第2版では、新たに第13.1.2項が追加され、以下の要件が定められました:
・ スキッドに取り付けられた機器は、該当する製品規格に適合していること
・ 適用可能な製品規格が存在しない機器については、追加評価を行うこと
・ 相互接続は カナダ電気規程(Canadian Electrical Code)Part I に従うこと
さらに、第13.1.2項には次の注記があります:
これらのスキッドは通常、特定の単一用途向けに設計されるため、関係する管轄当局(AHJ: Authority Having Jurisdiction) と協議し、要件の解釈が全関係者間で明確であるようにすべきです。AHJ は電気設備の承認に責任を持つ機関であり、スキッド内部の構成部品に関しても確認が必要になる場合があります。
この新しい注記は、顧客仕様や特注機器が製造される多くのケースにおいて、関係者間の明確なコミュニケーションが最善の方法であることを強調しています。









