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新欧州体外診断用医療機器規則(IVDR)とは?従来との変更点とリスク分類

コラム

EU市場における体外診断用医療機器(IVD)の規制は、IVDDからIVDRへの移行により大きく変わり

ました。IVDR(EU 2017/746)は2022年5月から適用が開始され、従来指令に比べて製造業者に対し

大幅に強化された要求事項を課しています。2024年7月には、移行期間の延長を含む修正規則

(amending regulation)が公布され、クラス別に段階的な移行スケジュールが再定義されました。

特に2025年5月および9月には、性能評価(Performance Evaluation)やノーティファイドボディ

との手続きに関する重要なマイルストーンが設定されており、多くの企業にとって早急な対応が

求められています。本記事では、IVDRの概要、従来からの主な変更点、新しいリスク分類システム、

そして適合に向けた具体的なプロセスまで、EU市場でIVD製品を展開する企業が必ず押さえておくべき

ポイントを解説します。

IVDRとは?EU体外診断用医療機器規則の概要

IVDR(In Vitro Diagnostic Regulation:体外診断用医療機器規則)は、欧州連合(EU)で流通する

IVD製品の安全性と性能を確保するために制定された規則です。従来の指令(IVDD:In Vitro

Diagnostic Directive)に代わるもので、EU市場における体外診断用医療機器の製造、流通、使用に

関する要求事項を定めています。

 

「指令」から「規則」への移行がもたらす変化

IVDRへの移行における最も重要な変更点は、法的な枠組みが「指令(Directive)」から「規則

(Regulation)」へ移行した点です。指令(IVDD)は各 EU 加盟国が自国の法律へ置き換える必要が

ありましたが、規則(IVDR)は EU 全域で直接適用されるため、規制運用の統一性と法的拘束力が

大幅に高まりました。

これに伴い、製造業者には従来以上の透明性と説明責任が求められています。具体的には、技術文書の

要求事項の詳細化、市販後監視(PMS)の強化、性能評価(Performance Evaluation)の明確化に

加え、EUDAMED(欧州医療機器データベース)への登録が段階的に義務化される予定です。

EUDAMEDでは製造業者情報、経済事業者情報、UDI、機器情報、ビジランス情報などを登録すること

で、EU市場全体でのトレーサビリティと監視体制が強化されます。

 

IVDRの施行スケジュールと移行期限の延長

IVDRは2017年5月26日に発効し、2022年5月26日から適用が開始されました。しかし、業界の準備

状況やノーティファイドボディ(NB)の大幅な不足といった課題に対応するため、欧州委員会は段階

的な移行スケジュールを導入しました。

2024年7月9日には、移行期限の再延長を含む改正規則(Regulation (EU) 2024/1860)が公布され、

製品のリスク分類に応じた新しい移行期限が定められました。具体的には、クラスD製品およびIVDD

証書を有する製品は2027年12月31日まで、クラスC製品は2028年12月31日まで、クラスBおよび

クラスA(滅菌)製品は2029年12月31日までとされています。

ただし、延長措置(2027〜2029年までの段階的移行期間)の適用を受けるために必要とされた条件で

ある、2025年5月26日までのIVDR第10条(8)に準拠した品質マネジメントシステム(QMS)の

導入、ならびに2025年9月26日までのノーティファイドボディ(NB)との正式な書面契約の締結は、

すでに期限を迎えています。

これらの条件を期日までに満たすことができなかった製造業者は、延長された移行期間の適用対象外と

なる可能性が高く、旧IVDD証書の失効後は、EU市場での継続供給に重大な影響が生じ得ます。

現在該当製品を市場に供給している製造業者は、NBや欧州の主管当局と協議し、適切な是正措置、

再申請、または市場戦略の見直しを早急に検討することが求められる状況です。

 

IVDRの大きな変更点と適合の必須要件

IVDRへの移行に伴い、従来のIVDDから多くの重要な変更が導入されました。これらの変更は、EU

市場でIVD製品を販売する企業にとって、事業運営に大きな影響を与えるものです。

 

新しいリスク分類の導入

IVDRにおける最大の変更点は、新しいリスク分類システムの導入です。従来のIVDDでは Annex II の

リスト(List A、List B)および特定用途製品によるカテゴリー方式が採用されていましたが、IVDR

では Annex VIII に規定された7つの分類規則に基づくリスクベースの分類方式へと移行しました。

この新しい分類方式では、機器の使用目的、公衆衛生に与える影響、個人の健康への影響度などを総合

的に評価し、クラス A(最低リスク)からクラス D(最高リスク)までの4段階に分類されます。

例えば、HIV や B 型・C 型肝炎などの感染症を検出する診断アッセイは一般にクラス C に分類され、

コンパニオン診断機器はすべてクラス C と規定されています。また、輸血用血液や臓器の安全性確保

に関連する感染症検査はクラス D に分類されます。

この分類方式への移行により、従来はノーティファイドボディ(NB)による審査が不要であった多く

の製品が新たに審査対象となりました。IVDDでは NB 審査が必要だった製品は全体の約 15%にとど

まりましたが、IVDRでは80%以上に拡大しており、製造業者には大幅なリソース増強と適合性評価

プロセスの見直しが求められています。

 

臨床性能評価の厳格化

IVDRでは、臨床性能評価に関する要求事項が大幅に強化されました。製造業者は、IVD の科学的妥当

性(Scientific Validity)、分析性能(Analytical Performance)、臨床性能(Clinical Performance)

に関するエビデンスを体系的に収集し、Performance Evaluation Plan および Performance

Evaluation Report として文書化することが義務付けられています。

科学的妥当性は、測定対象と特定の疾患・生理学的状態との科学的関連性を示すものであり、分析性能

は精度・再現性・検出限界などの技術的特性を評価します。また臨床性能は、意図された臨床用途に

おいて検査が実際に目的を達成できるかを証明するものです。これらすべてについて科学的根拠に基づ

く包括的な評価が必要とされ、IVDRでは従来に比べて臨床的エビデンスの質と量が大幅に強化され

ています。

 

製品ライフサイクル管理の強化

IVDRでは、製品のライフサイクル全体を通じた継続的な安全性・性能管理が求められています。特に

市販後監視(PMS:Post-Market Surveillance)の要求事項が大幅に強化され、製造業者は市場上市後

も製品の安全性と性能を継続的に監視し、関連文書を随時更新することが義務付けられています。

クラスCおよびクラスD製品については、定期安全性更新報告書(PSUR:Periodic Safety Update

Report)を少なくとも年1回作成・更新し、EUDAMEDの関連モジュールが稼働後は電子システムを

通じて提出する必要があります。PSURには、使用実績、有害事象の発生状況、是正措置の実施状況

などの情報を含めることが求められます。

さらに、IVDRでは機器固有識別番号(UDI:Unique Device Identification)の使用が義務化されまし

た。UDIは製造から流通、使用に至るまで製品のトレーサビリティを向上させる仕組みであり、製造

業者は各製品にUDIを割り当て、EUDAMEDのUDIモジュールが完全稼働した後にはこれを登録する

ことが求められます。

 

IVDR適合のプロセスとNB選定のポイント

IVDR適合を実現するためには、体系的なアプローチと適切なNB(ノーティファイドボディ)の選定が不可欠です。以下では、適合に向けた具体的なプロセスと、NB選定における重要なポイントについて解説します。

 

IVDR適合への5つのステップ

製品分類の再評価

まず、IVDR Annex VIII に基づき、自社製品が新しい分類規則の下でどのクラスに属するかを再評価

します。IVDDでは低リスクとみなされていた製品であっても、IVDRでは Class B や Class C に再分

類されるケースが多く、慎重な判断が求められます。

 

適合性評価手順の特定

新しいクラス分類に基づき、NBの審査が必要かどうか、また、どの適合性評価モジュールを選択する

かを決定します。Class A(非滅菌)のみ自己宣言が可能であり、Class A(滅菌)、Class B、

Class C、Class D の製品はすべて NB の適合性評価が必須です。

Class D では、EURL(EU Reference Laboratory)による追加評価が求められる場合があります。

 

エビデンスの収集と技術文書の整備

製造業者は、科学的妥当性、分析性能、臨床性能に関するエビデンスを収集し、IVDR Annex II・III

に準拠した技術文書を作成します。既存データが不十分な場合、追加の試験や臨床性能研究が必要に

なることがあります。

 

NBによる審査

NBは、製造業者のQMS(品質マネジメントシステム)および技術文書を審査し、適合が確認されると

CE 証明書を発行します。審査期間は製品のリスク分類やNBの処理能力によって大きく異なり、数ヶ月

から1年以上に及ぶことがあります。

 

移行期限の遵守

延長された移行期間を適用するためには、製造業者は 2025年5月26日までに Article 10(8) に準拠し

たQMSを導入し、2025年9月26日までに NB と書面契約を締結している必要があります。これらの

条件を満たさない場合、延長措置を受けられず、旧IVDD証書の失効に伴いEU市場での供給が継続

できなくなる可能性があります。

 

NB選定における重要な考慮事項

IVDR適合において、適切なノーティファイドボディ(NB)の選定は依然として成功の鍵を握っていま

す。IVDRの厳格な要求事項により NB 審査対象製品が大幅に増加した一方、NB側の審査キャパシティ

には限界があるため、2025年現在でも深刻な審査渋滞が続いています。

2025年5月26日の QMS要件と NB への適合性評価申請、さらに 2025年9月26日の NB との書面契約

締結という延長期間適用の必須条件は、すでに期限を迎えました。このため、これらの条件を満たせな

かった製造業者については、延長措置(2027〜2029年までの移行期間)を利用できない可能性があり

ます。現時点では、NB と当局の判断に基づき、製品の市場供給継続可否や、迅速是正のための対応が

求められる状況です。

こうした環境では、今から適合性評価を進める企業においても、依然として NB の選定は極めて重要で

す。フルスコープ指定を受けた NB を選ぶことで、一貫した審査を受けられ、再申請のリスクや複数

NBとの調整負担を減らすことができます。また、経験豊富な NB を選択することで、審査プロセスに

おける技術的課題への対応が迅速になり、審査の停滞を回避することが期待できます。

2025年以降、NB の審査待機期間は引き続き長期化しており、製品のリスク分類や NB の処理能力に

よっては、審査完了まで1年以上を要するケースも見られます。そのため、まだ対応が完了していない

企業は、速やかに NB と協議を開始し、可能な対応策(救済措置、代替手段、再申請の要否など)を

検討することが、事業継続にとって極めて重要です。

 

インターテックのIVDR適合支援サービス

インターテックは、グローバルな医療機器試験・認証サービスのリーディングプロバイダーとして、

IVDR適合に向けた包括的なサポートを提供しています。

 

インターテックの強みと提供サービス

インターテックは、IVDRで要求される安全性・性能・品質に関連する各種試験および評価サービスを

提供しています。特に、電気安全性試験(IEC 61010-1、IEC 61010-2-101)、EMC試験、ソフト

ウェア検証、医療機器向けサイバーセキュリティ評価、生物学的安全性評価、ISO 13485 に基づく

品質マネジメントシステム(QMS)認証など、IVD機器の上市に必要となる多岐にわたるコンプラ

イアンス要件に対応しています。

CE認証取得に向けた試験・評価フェーズ全体を支援することで、製造業者がNB審査に必要な技術文書

(Technical Documentation)の整備を円滑に進められるようサポートします。

 

インターテックに依頼するメリット

インターテックは、IVDRで要求される安全性・性能・品質に関連する各種試験および評価サービスを

提供しており、製造業者がIVDR適合に必要な技術文書を準備するうえで不可欠なエビデンス取得を

総合的に支援します。電気安全試験、EMC試験、ソフトウェア検証、医療機器向けサイバーセキュリ

ティ評価、生物学的安全性評価など、IVD機器の上市に必要な幅広い試験サービスに対応しています。

これらは IEC 61010-1、IEC 61010-2-101、ISO 13485 などの国際規格に準拠して実施されます。

 

また、2024年7月の改正法規を含むIVDRの最新要件にも精通した専門チームが、必要な試験計画の

立案、技術文書作成に必要なデータ収集、NB審査に向けた準備プロセスなど、製造業者が効率的に

適合性評価の準備を進められるよう支援します。

インターテックは世界100か国以上にネットワークを持つグローバルな品質保証プロバイダーであり、

EU市場だけでなく、米国FDA、カナダ、アジア太平洋地域など複数市場への同時展開を見据えた包括

的なコンプライアンス支援が可能です。

インターテックのIVD機器向け試験・評価サービスの詳細をまとめた資料をご用意しています。IVDR

適合に必要な試験項目や準備プロセスについて詳しく知りたい方は、ぜひ資料をダウンロードしてご覧

ください。

資料ダウンロードはこちら

 

IVDRへの早期移行がEU市場での競争力を左右する

IVDRはリスク分類を大幅に変更し、従来約15%だったNB審査対象を80%超へと引き上げた極めて

厳格な規則です。2024年7月の改正で移行期限は延長されましたが、延長措置の前提となる2025年5月

26日のQMS整備、2025年9月26日のNB契約締結はすでに期限を迎えており、これらを満たせなかった

製造業者にはEU市場での供給継続に影響が及ぶ可能性があります。現在も上市している製品について

は、NBや主管当局と協議しながら迅速な是正対応が求められます。

IVDR適合は事業継続の必須条件であると同時に、製品の安全性・性能を国際的に示す重要な機会でも

あります。複雑化した要求を確実に満たすためには、信頼できる試験パートナーと連携し、NB審査に

必要なエビデンスを計画的に整備することが不可欠です。

インターテックは、電気安全、EMC、ソフトウェア評価、医療サイバーセキュリティ、生物学的評価

など、IVDR要件に直結する試験サービスを幅広く提供しています。これらの試験データは技術文書の

整備を支える基盤となり、ISO 13485 認証や複数市場向け規制対応とあわせて、製造業者のグローバル

な適合準備を総合的に支援します。IVDR対応に必要な試験項目や準備プロセスについて詳しく知りた

い方は、ぜひインターテックまでお問い合わせください。

この記事を書いた人

インターテックジャパン 電気・電子部門編集部

インターテックジャパン 電気・電子部門編集部

2005年にインターテックジャパン株式会社に入社。電気・電子部門の営業として、主にIT機器、医療機器、家電製品のEMC試験、無線試験、PSE試験などの各種試験・認証業務に従事。