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データセンター冷却の最前線:ITEルームクーリングの効率化と安全規格対応

コラム

AI技術の進展とクラウドサービスの拡大により、データセンターにおけるIT機器の高密度化が

急速に進んでいます。この変化に伴い、冷却システムには従来以上の性能と信頼性が求められ

る一方で、環境配慮の観点から低GWP(地球温暖化係数)冷媒への移行が世界的に進められて

います。

特に北米市場では、2025年1月以降の完全移行が求められる UL 60335-2-40 をはじめとする国際

規格への対応が、市場参入の必須要件として位置づけられています。同規格は、電気安全性に加えて、

A2L可燃性冷媒の使用に伴うリスク管理や連続運転時の信頼性確保など、データセンター向け冷却機器

に求められる重要な要求事項をカバーしています。

本記事では、データセンターおよびITEルームにおける冷却技術の最新動向、

PUE(Power Usage Effectiveness)の最適化手法、そしてUL 60335-2-40を中心とした安全規格

への適合について詳しく解説します。

さらに、インターテックが提供する試験・認証サービスを通じて、設計段階からのリスク低減と

スムーズな市場参入を実現する方法をご紹介します。

 

目次

データセンター冷却の課題:ミッションクリティカルな環境と高密度化への対応

データセンターにおける冷却システムは、単なる温度管理装置ではなく、ビジネス継続性を支える重要

なインフラストラクチャです。サーバーやストレージ機器の安定稼働を24時間365日維持するために

は、高度な信頼性と精密な温度制御が不可欠となります。

 

データセンター冷却がミッションクリティカルである理由

現代のデータセンターでは、わずか数分のダウンタイムが数百万円規模の損失につながる可能性があり

ます。冷却システムには、「稼働時間(Uptime)」と「熱安定性(Thermal Stability)」という2つ

重要な要素が求められます。

冷却システムの故障や性能低下はIT機器の過熱を引き起こし、システム停止や機器損傷につながる

ため、高い信頼性と冗長性が不可欠です。また、IT機器を適切な動作温度範囲内で稼働させることで、

処理性能の維持と機器寿命の延長が実現されます。

 

データセンター特有のHVAC/R機器への要求事項

データセンター向けの冷却装置には、一般的な空調設備とは異なる特殊な要求事項が課せられます。

まず、24時間365日の連続運転に耐えうる耐久性と、部分負荷から全負荷まで幅広い運転条件下で安定

した性能が求められます。次に、環境規制により低GWP冷媒への移行が進められていますが、これら

冷媒は可燃性を持つため、リーク検知システムの設置や適切な換気設計、着火源管理などの安全対策

が必須となります。さらに、高電圧・大電流を扱う装置として感電や漏電に対する保護措置に加え、

材料の難燃性や電気部品の安全性に関する厳格な要件が適用されます。

 

高密度IT負荷に対応する冷却技術の進化とPUE最適化

データセンターのIT機器密度は年々増加しており、1ラックあたりの消費電力は従来の5~10kWから、

最新のAIワークロードでは30~50kW、さらには100kWを超えるケースも登場しています。こうした

急激な高密度化に対応するため、冷却技術も大きく進化しています。

 

高密度ラックに対応する冷却方式のトレンド

従来の床下空調やCRAC(Computer Room Air Conditioning)ユニットでは、高密度化するIT機器の

発熱に対応しきれないケースが増えています。

近接ラック冷却(In-Row Cooling)は、サーバーラックの列間に冷却ユニットを配置し、発熱源に

近い位置で効率的に冷却する方式です。冷気の搬送距離が短縮され、エネルギー効率が向上します。

さらに高密度な環境では、液冷技術の採用が進んでいます。

直接液冷(Direct-to-Chip Liquid Cooling)方式では、冷却液をCPUやGPUに直接接触させることで、

空冷では実現が難しい高い冷却性能を発揮します。

 

エネルギー効率の指標PUEを最適化するための評価ポイント

PUE(Power Usage Effectiveness)は、データセンター全体の消費電力をIT機器の消費電力で割った

値として定義され、エネルギー効率を測る最も一般的な指標です。理想的なPUE値は1.0ですが、

実際のデータセンターでは1.2~1.8の範囲となっています。

PUE最適化には、冷却システムの性能試験が重要です。まず、さまざまな運転条件下での冷却能力を

測定し、過剰設備や能力不足を防ぎます。次に、CFD(数値流体力学)解析や実測により気流パターン

を最適化します。さらに、部分負荷性能の評価も重要です。IT負荷は時間帯や季節によって変動する

ため、負荷変動に応じた効率的な運転が求められます。

 

なぜ安全規格への適合が「市場参入の必須要件」なのか?

データセンター向け冷却装置の開発・販売において、国際安全規格への適合は技術的な選択肢ではな

く、市場参入のための必須要件となっています。特に北米市場では、OSHA認定NRTLによる安全認証

を取得しなければ製品を販売・設置することは事実上不可能です。

 

機器の「安全」と「市場受け入れ」を両立する国際規格の重要性

安全規格への適合は、製品の安全性を証明するだけでなく、施設所有者や管轄当局

(AHJ:Authority Having Jurisdiction)からの受け入れを得るための重要な要素です。

データセンター施設の建設や運営には、建築基準法や消防法、電気安全基準などが適用され、特定の

安全規格への適合が要求されます。規格認証を取得していない機器では、施設全体の認可が得られな

い、あるいは保険適用が困難になる可能性があります。さらに、大手データセンター事業者は調達仕様

において認証取得済み機器の使用を求めており、規格認証の取得は大口顧客への販売機会を確保する

ための前提条件となっています。

 

UL 60335-2-40の適用範囲と要求事項

2024年1月以降は従来のUL 1995への新規認証が終了し、2025年1月からはUL 60335-2-40が主要な

安全規格として事実上必須となっています。

適用製品には、冷媒とモータ圧縮機を含む冷却機器が含まれ、データセンター向けの精密空調機、液冷

用チラーユニット、CDU、インロー冷却ユニットなどが対象となります。

要求事項は多岐にわたります。電気ショックに関しては感電保護や絶縁性能の評価、機械的危険につい

ては回転部品の保護や圧力容器の強度評価が行われます。特に重要なのが冷媒関連のリスク評価で、

可燃性冷媒使用時のリーク検知システム、冷媒充填量の制限、換気・排気性能が厳格に評価されます。

 

UL 60335-2-40の重要ポイント:A2L冷媒対応と移行の課題

UL 60335-2-40への移行において、最も大きな変化の一つがA2L冷媒(微燃性・低GWP冷媒)への

対応です。環境保護の観点から、従来のR-410AなどのHFC冷媒から、GWPが大幅に低いA2L冷媒

への転換が世界的に進められており、これに伴って冷媒安全に関する要求が大きく強化されています。

 

低GWP冷媒(A2Lなど)使用時の特別要件と試験

A2L冷媒は、ASHRAE Standard 34において「A(低毒性)」「2(可燃性)」「L(低燃焼速度)」に

分類される冷媒群です。R-32、R-454B、R-1234yfなどが代表例で、R-410A(GWP: 2,088)と

比較してGWPが数百程度と大幅に低く、環境負荷の削減に貢献します。

A2L冷媒は「微燃性」という特性を持つため、UL 60335-2-40では可燃性冷媒に関する追加要件で

ある Annex DD が適用されます。冷媒リーク検知システムの設置が義務付けられ、工場設定された

しきい値を持ち、1時間ごとにセルフテストを実行する必要があります。また、様々な運転条件下

での漏洩リスク評価や、万が一の漏洩時に冷媒が危険な濃度まで蓄積しないことを示すための換気

・排気性能評価も実施されます。

 

規格適合を加速させるワンストップソリューション

データセンター向け冷却装置の規格認証プロセスは複雑で、多くの時間とリソースを必要とします。

インターテックは、設計段階から認証取得、継続的なコンプライアンスまで、ワンストップで支援

します。

 

安全・性能・認証を一本化:ワンソースカバレッジのメリット

インターテックのワンソースカバレッジでは、安全性試験、性能・エネルギー試験、工場検査、認証

取得を単一窓口で提供します。複数機関とのやり取りが不要となり、プロジェクト管理が大幅に効率化

されます。また、安全性試験とPUE最適化のための性能試験を並行して実施することで、製品開発

サイクルを加速し、市場投入までの時間を短縮することができます。

 

設計文書レビューとリスク軽減:コストを削減する早期評価

製品開発の初期段階で設計文書をレビューすることで、規格不適合のリスクを早期に特定できます。

インターテックの設計レビューサービスでは、回路図、部品リスト、材料仕様書などを評価し、潜在的

な問題点を指摘します。これにより、試作段階での大幅な設計変更を回避し、開発コストと時間を削減

できます。

 

UL 60335-2-40の全試験項目に対応可能なグローバルラボ体制

UL 60335-2-40の認証には、多岐にわたる試験項目をクリアする必要があります。電気安全試験、

機械的危険の評価、材料可燃性試験、A2L冷媒使用時のリーク検知システムの性能試験に加え、連続

運転を模擬した耐久性評価などが実施されます。

インターテックは、北米、欧州、アジアに展開するグローバルラボネットワークを通じて、これら

すべての試験項目に対応可能な設備と専門知識を有しています。また、各国の規格要求事項に精通して

おり、複数地域の規格に基づく認証取得を支援し、グローバル市場への同時展開を可能にします。

 

規制リスクを回避し、市場を確保するための実践的なネクストステップ

UL 60335-2-40への対応は、単なる規格適合プロジェクトではなく、市場競争力を強化し、ビジネス

リスクを軽減するための戦略的取り組みです。ここでは、実務担当者が今すぐ取るべき具体的なアク

ションステップをご紹介します。

 

実務担当者が今すぐ取るべき4つの行動

早期のデザインプロセスへの試験機関の関与

製品開発の初期段階から試験機関と連携することで、規格要求事項を正確に理解し、設計段階での対応

が可能となります。インターテックでは、設計レビュー会議への参加や技術相談を通じて開発チームを

サポートし、後工程での大幅な設計変更を回避します。

 

ギャップ分析の依頼

既存製品がUL 60335-2-40の要求事項をどの程度満たしているかを評価するギャップ分析は、移行

戦略立案の第一歩です。製品仕様書や設計資料をレビューし、追加対応が必要な項目を明確化する

ことで、優先順位付けされた改善計画を策定できます。

 

冷媒特有の試験計画の策定

A2L冷媒を使用する製品では、リーク検知システムの性能試験、冷媒充填量の最適化、換気性能の評価

など、冷媒特有の試験項目が追加されます。早期に試験計画を策定し、専門的な設備を持つ試験機関と

調整することで、効率的な試験実施が可能です。

 

工場検査・ラベリング計画の調整

認証取得後も、製品の継続的な適合性を確保するため、工場検査(Follow-Up Service)への対応が

必要です。製造プロセス管理、部品調達管理、品質検査体制など、評価項目について事前に準備を

進めることが重要です。

 

インターテックが提供する情報・サービス

インターテックでは、データセンター向けHVACR機器に関する包括的な情報を提供しています。

詳細な技術情報や規格要求事項については、以下のホワイトペーパーをご参照ください。また、お客様

の個別のニーズに応じたご相談や、具体的なプロジェクトについてのお問い合わせも承っております。

ホワイトペーパーのダウンロードはこちら

 

安全性の確保は「市場機会」の確保である

データセンターの高密度化とAI技術の進展により、冷却システムへの要求は今後さらに厳しくなること

が予想されます。

同時に、環境規制の強化により、低GWP冷媒への移行は不可避の流れとなっています。

UL 60335-2-40をはじめとする国際安全規格への適合は、単なる法的要件ではなく、市場での競争

優位性を確立するための戦略的投資です。規格適合を通じて実現される製品の安全性と信頼性は、

データセンター事業者からの信頼獲得につながります。また、グローバル規格への対応により複数市場

へのアクセスが容易になり、ビジネス機会が拡大します。

インターテックは、100カ国以上に展開するグローバルネットワークとHVACR分野における豊富な

実績を活かし、設計段階からのリスク評価、包括的な試験・認証サービス、継続的なコンプライアンス

サポートまで、ワンストップで提供いたします。データセンター冷却装置の開発・市場投入において、

適切なパートナーと共に進めることで、規格適合は市場機会へと転換できます。

 

この記事を書いた人

インターテックジャパン 電気・電子部門編集部

インターテックジャパン 電気・電子部門編集部

2005年にインターテックジャパン株式会社に入社。電気・電子部門の営業として、主にIT機器、医療機器、家電製品のEMC試験、無線試験、PSE試験などの各種試験・認証業務に従事。