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【CSA C22.2 No. 301対応ガイド vol.2】産業機械の設置に求められる“安全の本質”とは?

ブログ

産業機械の安全設計・設置に関わる技術者や事業者にとって、
CSA C22.2 No. 301規格の2023年改訂は見逃せない重要な変化です。

本コラムではシリーズ第2弾として、設置環境や非電気的なリスクといった、
これまで曖昧だった領域に対し、明確な要件が追加された内容を中心に解説します。

 

◆なぜ「環境要件」が重要視されるのか?

産業用機械が設置される現場は、
クリーンルームから食品工場、素材加工現場、さらには屋外環境まで多岐にわたります。
それぞれの環境が持つリスクは異なり、それに応じた安全対策が求められます。

今回の改訂では、特に以下の点が強化されました:

屋外設置向けエンクロージャに関し、最低保護等級「Type 3R」が明記され、
紫外線耐性などの耐候性も必要に。

0℃以下での運用を想定する場合、機器の評価に加え、ヒーターや断熱材の実装まで検討対象に。

洗浄が必要な食品機械など、屋内でも湿潤な環境では、Type 2以上のエンクロージャが必要。
使用状況に応じた柔軟な対応が求められます。

つまり、「ただ動けばよい」時代は終わり、環境適合性こそが製品価値となるのです。

 

◆「電気以外の危険」にどう向き合うか?

もう一つ、今回の改訂で特に注目すべきなのは、非電気的リスクの明文化です。

従来、電気的な安全設計は当然の前提とされてきましたが、
実際には機械の可動部、鋭利な部品、作業員との接触など、電気以外のリスクも数多く存在します。

今回の改訂では:

条項7.1において「非電気的リスクへの対応」が正式な必須要件として追加。

参照すべき規格として、

CSA Z432(機械の安全防護/ISO 12100、13849-1に準拠)

CSA Z434(産業用ロボット/ISO 10218-1, -2に準拠)
が明記され、リスクアセスメントや安全制御設計の体系が強化されました。

これにより、産業機械の評価は“機械トータルとしての安全性”が問われる時代に突入した
といえるでしょう。

 

◆規格の改訂が示す“未来の機械安全”とは?

今回の改訂は、単なる技術的な要件の追加にとどまりません。
それは、カナダを含む北米市場が「実環境で本当に安全な製品」を求め始めているという
明確なメッセージです。

特にロボットや自動化設備の普及が進むなかで、
人と機械の協働における“非電気的な安全”の確保は避けて通れません。

製造業界の国際競争力を高めるうえでも、今回の改訂内容を理解し、
対応していくことは欠かせないでしょう。

 

◆まとめ:CSA C22.2 No. 301の改訂は「選択」ではなく「必須」

産業機械を北米市場で展開する、あるいは国内でも高い安全性を追求したい企業にとって、
CSA C22.2 No. 301の2023年改訂は“知っておくべき知識”ではなく、“備えるべき義務”です。

 

次回のシリーズ3では、電気安全要件そのものの変更点について解説します。
製品開発・設計・安全評価に携わる方は、ぜひご一読ください。

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この記事を書いた人

インターテックジャパン 電気・電子部門編集部

インターテックジャパン 電気・電子部門編集部

2005年にインターテックジャパン株式会社に入社。電気・電子部門の営業として、主にIT機器、医療機器、家電製品のEMC試験、無線試験、PSE試験などの各種試験・認証業務に従事。