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EMC測定器の校正はなぜ必要?信頼できる支援会社の選び方まで徹底解説

コラム

電子機器が正しく機能し、他の機器に影響を与えないことを保証するために不可欠なEMC試験。その試験結果の信頼性を根底から支えるのが「EMC測定器の校正」です。高精度な測定器も、定期的な校正なしではその性能を維持できず、誤った測定結果を導き出す可能性があります。

この記事では、EMC測定器の校正の重要性から、信頼できる支援会社の選び方、依頼の具体的な流れまで、専門的な知見を交えて分かりやすく解説します。

EMC測定器の構成に関するご質問や、具体的な測定環境の構築についてお悩みではありませんか?インターテック・ジャパンでは、EMC試験に必要な測定器の選定から試験実施まで、専門スタッフが丁寧にサポートいたします。

製品のEMC適合性評価や認証取得に関するご相談は、下記よりお気軽にお問い合わせください。

インターテックジャパン 電気・電子部門
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EMC測定器の校正とは?その必要性を解説

EMC測定器の校正とは?その必要性を解説

EMC測定器の校正とは、測定器の示す値が、国家標準や国際標準といった「より正確な値」に対してどれだけずれているかを確認する作業のことです。この作業は、EMC試験の正確性と再現性を担保する上で極めて重要です。

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EMC試験の信頼性を左右する校正の重要性

EMC試験は、製品が満たすべき電磁的な基準をクリアしているかを確認するための評価試験です。

もし、使用している測定器が不正確な値を示していた場合、本来は規格を満たしている製品を不適合と判断してしまったり、逆に規格を満たしていない製品を市場に出してしまったりする可能性があります。

適切に校正された測定器を使うことは、製品開発の手戻りを防ぎ、最終的な製品品質を保証するための大前提となります。

校正を怠ることで発生する重大なリスク

測定器の校正を怠ると、様々なリスクが生じます。例えば、製品のEMI(エミッション)測定において、実際よりも低いノイズレベルを示してしまった場合、市場投入後に他の電子機器への妨害問題を引き起こし、大規模なリコールに発展する可能性があります。

また、EMS(イミュニティ)試験で不具合を見逃せば、製品が外部からのノイズに弱いという欠陥を抱えたまま出荷されることになります。これらの問題は、企業の信頼失墜や経済的損失に直結する重大なリスクです。

国際規格(ISO/IEC 17025)で求められる校正

製品をグローバルに展開する企業にとって、ISO/IEC 17025の要求事項を満たすことは非常に重要です。

この規格は試験所および校正機関が正確な結果を出す能力があることを証明するための国際規格であり、その中で使用する測定機器が、定められた手順に従って校正されていることを要求しています。

ISO/IEC 17025の認定を受けた試験所や校正機関を利用することは、その試験結果が国際的に通用する信頼性を持つことの証明となります。

 

校正の対象となる主なEMC測定器

EMC測定器には様々な種類がありますが、その多くが定期的な校正を必要とします。

ここでは、代表的なEMI測定関連機器とEMS試験関連機器について解説します。

測定器カテゴリ 主な測定器名 概要
EMI測定関連 EMIテストレシーバ/
スペクトラムアナライザ
製品から放射される電磁ノイズを測定するための中心的な機器です。
擬似電源回路網(LISN/AMN) 電源線から伝導するノイズを測定するために使用します。
アンテナ 空間に放射される電磁ノイズを捉えるための機器です。
電流プローブ ケーブルを流れるコモンモード電流(ノイズ)を測定します。
EMS試験関連 静電気試験器(ESDガン) 製品の静電気に対する耐性を評価する試験器です。
ファストトランジェント/
バースト試験器
電源線や信号線に重畳する高速な過渡ノイズへの耐性を評価します。
サージイミュニティ試験器 雷などによる大きなサージ電圧への耐性を評価します。
電界・磁界発生装置 外部からの電磁界に対する製品の耐性を評価するための機器です。

EMI(エミッション)測定関連の主要機器

EMI測定では、製品から意図せず放出される電磁ノイズを正確に測定することが求められます。

中心となるEMIテストレシーバやスペクトラムアナライザはもちろんのこと、ノイズを検出するためのアンテナや電流プローブ、電源線ノイズを分離するための擬似電源回路網(LISN)など、測定系全体が校正されている必要があります。

これらのいずれかの精度がずれていると、測定結果全体の信頼性が損なわれます。

EMS(イミュニティ)試験関連の主要機器

EMS試験では、規定されたレベルの電磁的な妨害を製品に印加し、誤動作しないかを確認します。静電気試験器やサージイミュニティ試験器などが、正確なレベルのストレスを製品に与えられているかを保証するために、校正が不可欠です。

印加するエネルギーが強すぎれば過剰な設計につながり、弱すぎれば市場で発生しうるノイズへの耐性不足を見逃すことになります。

 

EMC測定器の校正を依頼する基本的な流れ

EMC測定器の校正を依頼する基本的な流れ

EMC測定器の校正を支援会社に依頼する場合、一般的に以下の流れで進みます。細かな手順は支援会社によって異なりますので、依頼時に確認することが重要です。

 

手順1:校正支援会社への問い合わせと見積もり依頼

まず、校正を希望する測定器のメーカー名、型番、数量などをリストアップし、校正支援会社に問い合わせます。その際、ISO/IEC 17025に基づく認定校正が必要かどうかを明確に伝えましょう。

支援会社はその情報に基づいて、校正費用と納期を記載した見積書を提示します。

手順2:対象測定器の発送または引き取り

見積内容に合意したら、校正する測定器を支援会社に送付します。測定器は非常にデリケートなため、輸送中の衝撃や振動で破損しないよう、購入時の専用ケースに入れるなど厳重な梱包が必要です。

支援会社によっては、専門のスタッフが引き取りに来てくれるサービスを提供している場合もあります。

手順3:専門家による校正作業の実施

支援会社に到着した測定器は、温度や湿度が管理された専門の校正室で、国家標準などにトレーサブルな、より高精度な標準器を用いて校正作業が行われます。

手順4:校正証明書の発行と測定器の返却

校正作業が完了すると、測定結果を記載した「校正証明書」や、校正済みであることを示すラベルが発行されます。ISO/IEC 17025認定校正の場合は、認定シンボル付きの証明書が発行されます。 その後、測定器は厳重に梱包され、依頼主の元へ返却されます。

EMC測定器の構成に関するご質問や、具体的な測定環境の構築についてお悩みではありませんか?インターテック・ジャパンでは、EMC試験に必要な測定器の選定から試験実施まで、専門スタッフが丁寧にサポートいたします。

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失敗しないEMC測定器の校正支援会社の選び方

失敗しないEMC測定器の校正支援会社の選び方

信頼できる校正支援会社を選ぶことは、EMC試験の品質を維持する上で非常に重要です。

ここでは、支援会社選定の際に確認すべき4つのポイントを解説します。

 

ISO/IEC 17025認定を取得しているか確認する

最も重要なポイントは、その支援会社が校正機関としてISO/IEC 17025の認定を受けているかです。 この認定は、校正機関の技術的な能力と品質管理体制が国際的な基準を満たしていることを第三者機関が証明するものです。

認定された支援会社に依頼することで、発行される校正証明書の信頼性が国内外で保証されます。

校正可能な測定器の範囲と実績を確認する

自社が保有している測定器が、その支援会社の校正可能な範囲に含まれているかを確認する必要があります。特に、特殊な測定器や最新の測定器については、対応できる支援会社が限られる場合があります。

また、長年にわたり多くのEMC測定器の校正を手掛けている実績があるかどうかも、信頼性を判断する上での重要な指標となります。

提示された納期や費用の妥当性を判断する

複数の支援会社から見積もりを取り、納期や費用を比較検討することも大切です。ただし、単に価格が安いという理由だけで選ぶのは避けるべきです。

安価な支援会社は、校正の項目を省略していたり、技術的な能力が不足していたりする可能性も考えられます。提示された費用が、サービスの品質に見合った妥当なものであるかを見極める必要があります。

技術的なサポート体制が整っているか確認する

校正に関する技術的な質問や、測定器の取り扱いに関する相談に、専門の技術者が丁寧に対応してくれるかどうかも重要なポイントです。

万が一、校正後に測定器の不具合が疑われるような場合でも、迅速かつ的確なサポートが受けられる支援会社であれば、安心して任せることができます。

 

EMC測定器の校正に関するよくある質問

ここでは、EMC測定器の校正に関して、お客様から多く寄せられる質問とその回答を紹介します。

校正の頻度はどのくらいが適切ですか?

測定器の校正頻度は、法律で定められているわけではありませんが、一般的には1年に1回実施することが推奨されています。これは多くの測定器メーカーが推奨する周期であり、ISOなどの品質マネジメントシステムでも一般的に要求されるサイクルです。

ただし、使用頻度が高い、過酷な環境で使用している、あるいは重要な測定に使用する機器については、より短い周期での校正を検討すべきです。

校正にかかる費用と期間の目安は?

校正費用と期間は、測定器の種類、機種、そして校正の項目によって大きく異なります。一般的なスペクトラムアナライザやアンテナの場合、費用は数万円から10万円程度、期間は測定器を預けてから1週間から2週間程度が目安となります。

正確な費用と期間については、必ず事前に校正支援会社へ見積もりを依頼して確認してください。

 

まとめ

EMC測定器の校正は、製品の品質と安全性を確保し、市場での信頼を維持するために不可欠なプロセスです。この記事で解説した校正の重要性、対象機器、そして信頼できる支援会社の選び方を参考にしていただき、自社の製品開発と品質保証体制の強化にお役立てください。

適切な校正を通じて、EMC試験の信頼性を確固たるものにすることが、グローバルな競争を勝ち抜くための鍵となります。

EMC測定器の構成に関するご質問や、具体的な測定環境の構築についてお悩みではありませんか?インターテック・ジャパンでは、EMC試験に必要な測定器の選定から試験実施まで、専門スタッフが丁寧にサポートいたします。

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この記事を書いた人

インターテックジャパン 電気・電子部門編集部

インターテックジャパン 電気・電子部門編集部

2005年にインターテックジャパン株式会社に入社。電気・電子部門の営業として、主にIT機器、医療機器、家電製品のEMC試験、無線試験、PSE試験などの各種試験・認証業務に従事。