2025/09/01
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電気機械の未来を左右する!?CSA C22.2 No. 301:2023 改訂の核心に迫る
2023年末、カナダ電気規格に大きな変化が起きたことをご存知でしょうか?
製造業界や電気安全に携わる方なら見逃せないのが、CSA C22.2 No. 301「産業用電気機械」規格の第2版改訂です。これは単なる
マイナーアップデートではありません。産業用ロボットの追加や、適用電圧の拡大、除外範囲の明確化など、製品設計・認証・安全対応に直結する重要な変更が多数含まれているのです。
本コラムでは、改訂されたCSA C22.2 No. 301:2023のポイントをわかりやすく解説し、製造業者が今後直面する課題と対応の方向性を
探ります。
そもそもCSA C22.2 No. 301とは?
この規格は、カナダ国内で使用される産業用電気機械の電気安全に関する基準であり、カナダ電気規程(CEコード)に適合するための主要な指針です。第1版は2016年に発行されましたが、実運用における課題が多く、認証機関ではほとんど活用されないままとなって
いました。
そして今回、技術委員会の再検討を経て満を持して登場したのが第2版(2023年版)です。
改訂の“目玉”はここだ!押さえておきたい主要変更点
1. 産業用ロボットが新たに対象に!
ロボティクス技術の急速な進化を受けて、CSA C22.2 No. 301に産業用ロボットおよびロボット機器が正式に追加。これにより、認証時の適用範囲や要求事項が明確化されました。詳細な要件は、今後の続編で掘り下げていきます。
2. 電圧の上限が拡大 – DC機械も視野に
従来はAC1000Vまでだった適用上限が、今回の改訂でAC1000VおよびDC1500Vに拡大。直流系機械の普及に対応するものであり、
再生可能エネルギー関連設備やバッテリー駆動装置を扱う企業にとっては、重要な変更です。
3. 適用除外の明確化で迷いなし
以下のような製品には引き続き別規格の適用が求められます。
- 公道走行用の車両機械 → 本規格の対象外
- 家庭・業務用モーター駆動機器(例:自動車整備機器、エアコンプレッサー等) → CSA C22.2 No. 68を適用
将来的な改訂は?次の更新は2028年頃か
CSAでは5年ごとの見直しが義務づけられており、今回の第2版は今後しばらくの“最新版”として使われる見込みです。ただし、既にいくつかの軽微な誤記や調整事項が判明しており、これらは次回版(2028年頃想定)で修正される予定です。
なぜ今、この改訂を知るべきか?
この新しい規格は、製品設計から試験、認証、納入後の安全対応まで、多方面に影響を与えます。特に海外向け製品やグローバル市場での展開を目指す企業にとっては、「知らなかった」では済まされない内容が含まれています。
本シリーズでは今後、各変更点の詳細や実務上のポイントを掘り下げていきます。CSA C22.2 No. 301の改訂を正しく理解し、次の一手をどう打つか――それがこれからの競争力につながります。