2025/08/27
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【特集】2025年版 ISO 10218 改訂 ─ ロボットの“安全”は今、どこへ向かうのか?
産業用ロボットが日々進化する一方で、その“安全”をどう確保するかは、製造業にとってますます重要なテーマとなっています。特に、
高速・高精度化、協働化、そしてAI・IoTとの連携が進む今、従来の安全基準では対応しきれない領域も増えてきました。
こうした背景の中、2025年版として新たに改訂された ISO 10218 は、ロボット安全の“新しいスタンダード”として、グローバルな関心を集めています。
■ ISO 10218とは?
ISO 10218は、産業用ロボットとそのシステムに関する国際的な安全規格です。ロボットの設計から導入、運用まで一貫して「安全」
であることを確保するための指針として、世界中の製造現場で採用されています。
2025年版では以下のような改訂が行われました:
技術の進化に対応した用語や定義の見直し
メーカーとシステムインテグレーター間の責任区分の明確化
協働ロボット(Cobots)への対応強化(ISO/TS 15066との整合性向上)
他の機能安全規格(ISO 13849、IEC 62061など)との連携強化
さらに、北米で広く使用されているANSI/RIA R15.06も、このISO改訂に合わせて見直しが進められており、今後は世界基準の整合性が
より一層求められます。
■ 企業が今、すべきアクションとは?
今回の改訂は単なる「文書の更新」ではなく、企業の安全設計や運用体制に直接的な影響を及ぼします。
特に以下のような対応が重要です:
自社のロボットシステムが最新の基準に適合しているか再確認
安全に関わる役割分担の見直し(設計者、導入者、保守担当者など)
今後のR15.06改訂に備えた社内教育やガイドラインの更新
見落とされがちですが、こうした対応の遅れが、事故や停止リスク、法的責任につながるケースもあります。
■ Intertekが提供する支援サービス
グローバルに展開する第三者認証機関であるIntertekでは、ロボティクス分野における安全コンプライアンスをトータルでサポートして
います:
・ ISO 10218準拠のリスクアセスメントと安全検証
・ 協働ロボットを含むシステムの機能安全評価
・ 社内チーム向けの安全規格トレーニングや技術支援
・ AI・サイバーセキュリティに関する統合的評価
単なる「適合」ではなく、“信頼できる自動化”を実現するための安全基盤を一緒に構築します。
■ 最後に:安全は“守り”ではなく“信頼をつくる力”
今やロボティクスは、単なる生産効率の向上にとどまらず、人と機械が共に働く未来を支える重要な技術となっています。
その土台となるのが「安全」です。
新しいISO 10218の正しい理解と実装は、単なるコンプライアンス対応ではなく、“信頼できる自動化”へのカギとなるでしょう。